研究課題/領域番号 |
21K07866
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
末延 聡一 大分大学, 医学部, 教授 (30253785)
|
研究分担者 |
高野 政子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (30316195)
井上 永介 昭和大学, 医学部, 教授 (50528338)
佐藤 晋治 大分大学, 大学院教育学研究科, 教授 (90323237)
佐藤 聡美 聖路加国際大学, 専門職大学院公衆衛生学研究科(公衆衛生大学院), 准教授 (50597804)
浦山 ケビン 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 社会医学研究部, シニアフェロー (60726850)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 小児AYA世代のがん / 知的・心的レジリエンス / 身体的レジリエンス |
研究実績の概要 |
小児・AYA世代にがんを発症した患者の知的・心的レジリエンスの評価法を確立するため、知的レジリエンスの指標としてウエクスラー式知能検査をはじめとした包括的認知機能検査の方法について、Web会議等で周知し検討した。特記事項として、研究分担者の佐藤聡美は、小児がんにおける日本版認知機能尺度(CCSS-NCQ)の開発を行って論文化した。 心的レジリエンス評価として末延らは「心的外傷後成長(日本語版外傷後成長尺度:Japanese version of the Posttraumatic Growth Inventory: PTGI-J)」を用いて自施設の患者および親権者の評価を行った。今後は、うつ病自己評価尺度も併用していく予定で、評価表を確立しつつある。 身体的レジリエンスの評価法として、末延らは経時的身体計測や血液検査、生理検査及び画像検査にて身長曲線(成長率)、BMI、血液生化学検査などを経時的に評価した。また、血清免疫グロブリン値、唾液中α-アミラーゼやコーチゾル、心拍数変動を利用した自律神経評価、画像での骨・脂肪および筋肉量などの評価法を確立しつつある。特記事項として、研究代表者の末延はEarly Recovery of Height Velocity in Prepubertal Children With Acute Lymphoblastic Leukemia Treated by a Short Intensive Phase Without Cranial Radiation Therapy.の研究内容に対して大分大学医学部小児科学講座同門会小川賞を受賞した。 以上の知的・身体的レジリエンスの統合ケアシステム構築は自施設及び分担者施設をはじめとした他施設で構築中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
知的レジリエンスおよび心的レジリエンスの評価について確立しつつあり、また身体的レジリエンスの評価法も自施設では確立している。 一方で、新型コロナウイルス感染症が現状も蔓延している環境下で、対面式の議論が乏しかった事を主な理由として知的・身体的レジリエンスの統合ケアシステム構築が不十分ではある。このような状況が継続した場合、引き続きインターネット環境での支援や指導法を確立していく。
|
今後の研究の推進方策 |
小児・AYAがん経験者の就学・就職・社会復帰を迅速かつ有効に推進するため、「知的・身体的レジリエンスの早期ケアシステム」を構築して実行可能となる事を目指している。 研究実績で示したように、ステップ1.知的・心的レジリエンスの評価法確立、ステップ2.身体的レジリエンスの評価法確立 について引き続き精度を上げていくことと、分担者と更に協力してステップ3.として知的・身体的レジリエンスの統合ケアシステムの素案を作成する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
R3.年度はCOVID-19蔓延につき、対面式の会議や指導が困難であったため、次年度使用として計上した。
|