研究課題
研究代表者は、原因不明の神経発達障害の成因を明らかにするため、これまで数千例の患者のゲノムコピー数解析を行ってきた。その結果、疾患の原因遺伝子の同定に繋がるような貴重な染色体微細異常を数多く報告してきた。その中にはこれまでに知られているメカニズムだけでは説明しきれない複雑な染色体構造異常が存在することから本研究のヒントを得た。同じ染色体腕内に2つ以上の欠失や欠失と重複が連続する場合があり、それら近傍の2つの異常はそれぞれ独立して形成されているのではなく、お互いに複雑な構造異常を形成していることを明らかにした。これらはchromothripsisというメカニズムによって説明することができたが、切断点に由来不明の塩基配列が挿入されている場合もあり、そのような場合はalternative nonhomologous end-joiningが関わっていると考えられた。この結果から、複数の染色体欠失や重複が連続する場合、より複雑な構造異常が生じていることが示唆された。一方、染色体テロメア領域において時に観察されるINV-DUP-DELでは末端に別の小さな染色体断片が付着しているパターンが存在している場合があることを発見した。このような所見はこれまで知られておらず、INV-DUP-DELの発生メカニズムを考える上で示唆に富む。そして3重複を伴うDUP-TRP/INV-DUPの解析にも取り組んだが、一般的に相同性の高い染色体領域が逆向きに存在する場合に誘発されやすいDUP-TRP/INV-DUPには、離れた場所での切断が関係する非典型例が存在することを明らかにした。このように、複雑な染色体構造異常にはさらに多様性が存在することが明らかになったことから、さらに研究を進める必要があると考える。
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すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 13件、 オープンアクセス 13件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 8件)
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