研究実績の概要 |
早産児の予後改善には頭蓋内出血や肺出血の予防が重要である。動脈管開存症(PDA)の循環管理はその中核をなすが、PDAの評価法・治療開始基準・治療法について、世界的なコンセンサスはない。我々は、国内34施設の前方視的研究(PLASE研究)で早産児のPDAにおける心エコー検査の有用性や各指標の信頼性に関する科学的根拠を創出した。しかし、従来の心エコー評価には大きな検者間誤差が存在した。検者間誤差の少ない心エコー検査の開発は、循環管理の向上につながり得る。 スペックルトラッキングを用いた3次元心エコー法・2次元ストレイン評価は心機能の半自動解析が可能で、検者間誤差が少なく信頼性が高いことが成人で示された。我々はこれらの評価法が早産児に応用できることを報告した。本研究では、 在胎23~29週で出生した早産児(3年間、約100名)の日齢O,1,2、PDAに対する手術前後において、スペックルトラッキングを用いた3D心エコー検査・2Dストレインによる新しい左室・左房・右室の機能指標を計測し、死亡や重篤な後遺症を予測するかを前方視的観察型研究として検討する。併せて、在胎30週未満の早産児の日齢O,1,2における3D心エコー検査・2Dストレインの標準値作成や検査者間差異を検討する予定である。 本年度は在胎30週未満の早産児の58名の検査を終了している。
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