現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.今年度は、抗 PD-L1抗体治療;Atezolizumab+Bevacizumab (ATZ+BV) の奏効に関するバイオマーカーの同定を主体に行った。ATZ+BV治療前に同意取得が得られた生検または肝切除既往時の余剰組織検体を用いて免疫組織染色を行い、腫瘍浸潤部における PD-L1、CD8+T/PD1、Treg/PD1 の発現と治療効果の相関を検討し、これら 3 種のマーカーにより、治療効果を予測するスコアリングの形成を行っている。3種のマーカーの内2種以上高発現で、治療効果、無増悪期間 (PFS) が良好であった。またリキッドバイオプシーにおいて、HCCと関連またはICI関連immune geneのchemokineとされている CCL2,3,4,5,20,22, CXCL1,2,8,9,10,12,13,16, CX3CL1の15 chemokineの治療前血中濃度とATZ+BV治療の効果を検討した。CXCL9含め3 chemokine 以上発現変化ある症例で治療効果、PFSが良好であった。 2.IKKε 抑制による CD8+ T 細胞数、免疫関連分子の発現変化について。siRNA を用いて IKKε 抑制による(IKKε KD-肝細胞癌株)、CD8+ T 細胞数の変化をフローサイトメトリーにて解析中である。IKKε の抑制と、抗 PD-L1 抗体療法により、CCL5, CXCL 8, 9, 12, IL-6等免疫関連分子の発現変化を検討している。 実臨床に沿うバイオマーカー研究の方を優先的に行い、基礎研究においてやや遅れが生じている。またICI, MTA治療における臨床dataのまとめと解析を行い、時間を要し、やや基礎研究の方で遅延の原因となっているが、ICI, MTA治療の論文を10に示すように報告している。
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