研究課題/領域番号 |
21K07901
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
渡邊 嘉行 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (90329243)
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研究分担者 |
山本 博幸 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 教授 (40332910)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 早期胃がん / 遺伝子メチル化異常 / ピロリ菌遺伝子異常 / 胃洗浄廃液 / ESD / 内視鏡AI診断 / 診断マーカー |
研究実績の概要 |
胃がんは「がん検診」導入後も癌部位別死因3位、見逃し率約25%である。我々は、通常内視鏡検査時に廃棄される胃洗浄廃液から回収・解析したDNA異常を、胃がん分子マーカーとすることで、従来法の弱みである「見逃し」の解消につなげることができるほか、存在・予測診断にも応用可能であることを2009年Gastroenterology誌)に報告した。また、胃洗浄廃液内に混在した複数種ピロリ菌の全ゲノム解析により「胃がんに特異的なピロリ菌遺伝子異常(OMPs: outer membrane proteins)」を発見し、2020年Int. Journal of Cancer誌に報告し、ピロリ菌遺伝子異常による構造変化が胃粘膜接着能増強、持続炎症を介して癌化を促し得る」ことを報告した。更に、これらの分子マーカーに「AI内視鏡診断能」を加えると早期胃がん診断能(感度80.0%・特異度82.4%)がさらに向上することを発見した。
本研究は「「廃液」を用いたヒト+ピロリ菌ゲノム異常分子マーカーに、AI診断を加える」ことで超早期胃がん診断を実現すべく、臨床試験を行い、得られた情報の統合的アルゴリズム化解析から「シンプルで画期的な診断応用」を目指すものである。
現在、早期胃がんに対する内視鏡的治療(ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術)適応症例においてIRB審査の後、臨床試験を実施。エントリー症例における「胃洗浄廃液回収およびDNA抽出、がん部切除切片よりDNA抽出、病変部・非病変部の内視鏡撮影」を終えている。今後は、得られたDNAを用いたメチル化解析・H.Pylori遺伝子解析を行うと同時に、得られた画像を用い、AI画像診断解析を実施。それぞれの診断マーカーとしての感度特異度をROC解析により評価。同時にz-score化させることで、複合マーカーによる診断能の更なる改善が図れるかどうかを検証してゆく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、早期胃がんに対する内視鏡的治療(ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術)適応症例においてIRB審査の後、臨床試験を実施。エントリー症例における「胃洗浄廃液回収およびDNA抽出、がん部切除切片よりDNA抽出、病変部・非病変部の内視鏡撮影」を終えており、ほぼ予定どおりの進行状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、得られたDNAを用いたメチル化解析・H.Pylori遺伝子解析を行うと同時に、得られた画像を用い、AI画像診断解析を実施。それぞれの診断マーカーとしての感度特異度をROC解析により評価。同時にz-score化させることで、複合マーカーによる診断能の更なる改善が図れるかどうかを検証してゆく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年、臨床試験に紐づく解析の、ごく一部が次年度に繰り越しとなるため、その費用として次年度に使用したく思います。
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