研究課題
今年度は、肝線維化非侵襲診断法であるShear wave elastography(SWE)とMRエラストグラフィ(MRE)血清マーカーFib-4 indexとNAFLD fibrosis scoreによる多施設研究の結果を得た。MREとSWEを測定した脂肪性肝障害患者464例を対象とした。MREとSWE/Fib-4 index/NFSの相関はSWEがFib-4 index/NFSより有意に高かった。SWEの各線維化ステージ別のAUROCとcutoff値(m/s)はF1; 0.848/1.35、F2; 0.918/1.44、F3; 0.936/ 1.61、F4; 0.914/ 1.612であり、Fib-4 indexの診断能より優れた。NAFLD/NASHのガイドラインの肝線維化進展例の絞り込みによるFib-4 index一次スクリーニングに基づく線維化程度分類は、線維化低/中/高リスクそれぞれ252(54.3%)/138(29.7%)/74(15.9%)例であり、これをSWEで再分類するとF3以上の肝線維進展例は線維化低/中/高リスク群それぞれ14/26/41例に認め肝発癌高リスク群の診断としてSWEが最も有用であった。
3: やや遅れている
コロナの影響で3年間肝生検が制限され研究が若干遅れているが、昨年は順調にすすめることが出来たため上記の通り結果は概ね出ている。次年度は脂肪程度と発癌、炎症の程度に関する論文化を予定する。これらの研究を元に今後は発癌リスクの研究へつなげたい。
肝線維化診断法はMREよりはるかに簡便であり、国内外に遍く普及する方法であることがわかり今後は海外の研究者と連携し広く研究を進めたい。超音波機器が広く普及しているわが国では、血清マーカーによる拾い上げはさることながら超音波による拾い上げにも力を入れる。
COVID-19の流行による臨床業務の大幅な変更があり、研究期間中の計画の遂行に遅延が生じた。次年度はさらに症例数を増やし、論文化を目指す。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件)
Journal of Medical Ultrasonics
巻: 51 ページ: 293-300
10.1007/s10396-023-01398-5