研究課題
大腸内視鏡検査の際に、ポリエチレングリコールを用いた前処置後に内視鏡下にブラシを用いて回腸、S状結腸粘膜の粘液を採取した。各サンプルからDNAを回収し、MiSeqによる16Sリボゾーム遺伝子のV3-V4アンプリコンシークエンス解析を実施した。QIIMEを用いて微生物の属レベルまでの同定を行い、細菌構成比、多様性について検討した。さらにメタゲノム機能予測解析(PICRUSt)を追加した。結果:IBS患者において健常者と比較して細菌多様性は低下し、酪酸産生菌がIBSで有意に少く、IBS-CとIBS-D間で細菌構成比および機能解析に差を認め、IBS-C群では、酪酸産生菌の中でもButyricicoccus属がS状結腸で、IBS-D群ではRuminococcus属およびOscillospira属が回腸末端で減少を認めた。以上の結果を下記英文誌に投稿し掲載されている。Mucosa-Associated Microbiota in Patients with Irritable Bowel Syndrome: A Comparison of Subtypes. Digestion. 102(1):49-56, 2021さらにBone marrow stromal cell antigen-1(BST-1)/CD157は、GPIアンカー型細胞膜外酵素でNADからサイクリックADPリボースの産生と加水分解の反応を司る。GWASによりBST1のSNPがパーキンソン病(PD)の危険因子であることや、うつや不安神経症などの精神疾患との関連性も指摘されている。BST-1 SNPsの検討では、rs12651314野生型が便秘型で有意に高率に認めた。BST1は、免疫調節によりIBSの病態に関わっている可能性が示唆された。現在論文作成中である。
2: おおむね順調に進展している
症例を集積し胆汁酸や短鎖脂肪酸などのMAM代謝産物である有機酸の測定を行い、IBSの病態や重症度との関連性を検討している。
ICR系統、C57BL/6J系統及びBALB/c Wildマウスを用いて母仔分離によるIBSモデルマウスを作製し、腸管粘膜細菌叢及びその代謝産物である短鎖脂肪酸や胆汁酸などを解析し、糞便移植による影響と治療効果を検討する動物実験に着手している。
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