研究実績の概要 |
当院に通院しているHIV感染者のHBマーカー(HBs抗原。HBs抗体、HBc抗体、HBV DNA)の測定、ワクチン接種歴の網羅的把握を行い、対象となる患者の抽出を行い、倫理申請の準備を行った。HBs抗原陽性例は全体の7%程度であり、その大部分は後天性にHBVに感染して持続感染に移行した例であった。この中にはワクチン接種歴がある者は含まれていなかった。また、HBs抗原陰性、HBc抗体陽性(感染後治癒例)は全体の63%程度であった。これによりHBV感染後の持続感染移行率は10%程度と計算された。この63%と残りの30%の患者の23名にHBワクチン接種が行われていた。通常の3回のHBワクチン接種によりHBs抗体が陽性となったのは5名のみであった。追加接種を行うことでさらに3名の患者で陽性となったものの、抗体陽転率は34%に過ぎなかった。今後、ワクチン効果のあった症例8名、効果のなかった症例15名のうち、同意が得られた症例から末梢血単核球を抽出し、cTfh (CD4+CXCR5+), CD4+CXCR5陽性細胞の解析を行う予定である。 また、健常人2名を対象として末梢血単核球を用いたcTfh (CD4+CXCR5+), CD4+CXCR5陽性細胞の分離をフローサイトメーターを用いて行った。分離頻度が低いため、今後の検討ではPMA, Ionomycin, Brefeldin Aを添加してポリクローナルに刺激を加えて解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は当初の予定通り、抽出した候補者のPBMCをFlowcytometryによりcTfh (CD4+CXCR5+), CD4+CXCR5-に分離し、それぞれの分画をさらにNaive T cell (CD27+CD45RO-), Central Memory T cell (CD27+CD45RO+),Effector Memory T cell (CD27-CD45RO+)に分け、HBV排除成功例(感染既往例)と不成功例(キャリア化例)で分画に差があるかどうかを見る予定である。また、PBMCにPMA, Ionomycin, Brefeldin Aを添加してポリクローナルに刺激を加えた後、CD4, CXCR5, ICOSでgatingを行う。その後IL-21のintracellular stainingを行い、IL-21産生能にHBV排除成功例と不成功例で差があるかを調べることを予定している。
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