研究実績の概要 |
今年度も引き続いて、LysMCreFthマウス(KO)と野生型マウス(WT)を用いて、3ヶ月間の高脂肪食/四塩化炭素/ブドウ糖ショ糖負荷によるNASHモデルの作成と解析を継続して行った。前年度に確認した、1)正常飼料群、NASH群ともにWTとKOマウスの間で体重増加に差はみられなかった、2)NASHモデルでの肝臓重量増加は、WTに比べてKOでは軽度であった、3)病理組織に基づくNASとfibrosis scoreの増加がKOで軽減されていた、4)炎症性サイトカインの遺伝子発現は、NDマウス群(WT, KO)と比較してNASHモデルWTマウスでは増加がみられたが、NASHモデルKOマウス群ではその程度は軽度であった、5)NASHモデルでの線維化関連遺伝子の発現増加もKOで軽減されていたことについて、異なった時期で新たに2セット作成して追加解析を行ったところ再現性が確認できた。 NASH誘導による酸化ストレスについて、脂質過酸化4HNEのウエスタンブロット、免疫組織化学ともにWTで増加したが、KOでは抑制されていた。NASHにおけるF4/80マクロファージ浸潤増加とCLS形成もKOで軽減された。線維化経路TGFb1-Smad、炎症性経路JNKの活性化もKOで抑制された。NASHモデルにおける肝臓脂肪酸取り込み・脂質蓄積に関わる遺伝子発現増加、脂肪酸分解に関わる遺伝子発現低下はKOマウスで是正されたが、Fasn, Srebp1cなど脂肪酸合成に関わる遺伝子発現はNASHで増加するもWTとKO間で差を認めなかった ベースラインで腹腔内マクロファージのRNA-seq解析を行い、DEG解析結果を基にエンリッチメント解析を行い、KOのマクロファージでは抗酸化経路、脂質代謝に関与する遺伝子発現が多く含まれていた。
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