(1)2DG-PLGAナノ粒子(2DG-PLGA-NP)薬物動態解析の基盤確立 1.質量分析法を用いたマウス血漿中2DG濃度測定法確立: BALB/c-nu/nu に対して 2DG-PLGA-NP 80mg/kg、週1回尾静脈的投与を行った後に、質量分析法(LC/MS/MS)を用いて血漿中2DG-6リン酸濃度を測定した。2.2DG(原体)に対する2DG-PLGA-NPの腫瘍への薬剤(2DG)送達性における優位性評価:用量(2DGとして8mg/kg)及び用法(週1回尾静脈投与)が同条件下では、2DG(原体)群 と比べ 2DG-PLGA-NP 群で腫瘍内2DG-6-リン酸濃度が有意に高かった。 (2)がん微小環境での解糖系阻害による抗腫瘍免疫活性化機構の統括的評価 3.2DGは血管内皮細胞(EAhy)の細胞増殖を抑制した。 4.肝発癌モデルに対する2DG-PLGA-NPの効果についての検討:DEN誘発肝癌マウスの肝癌組織において、Control群および2DG(原体)投与群と比較して2DG-PLGA-NP投与群では CD11b+ Myeloid cell(M2 TAM/MDSCに発現)の浸潤が抑制されていた。 (3)がん細胞の乳酸産生に対する解糖系阻害剤(2DG)が“CD8+TcellのPD-1発現調節機構”に及ぼす影響評価 5. 肝癌細胞(Huh7)からのグルコース依存性乳酸産生量増加に対して、2DG は有意に抑制した。さらに、CD8+T cell の PD-1 mRNA発現は、グルコース濃度依存性に亢進したが、2DGの併用によりさらに亢進した。以上より、解糖系阻害剤(2DG)は肝癌細胞の乳酸産生抑制を介して“(乳酸による)CD8+TcellのPD-1発現抑制を解除”し、PD-1抗体に対する反応性を増強する可能性が示唆された。
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