免疫応答の慢性化は、胃がん・大腸がん・肝がんなどの慢性炎症に関連したがんの発生に深く関与する。そのメカニズムとして、慢性炎症により誘発されるエピゲノム異常(DNAメチル化異常)の関与が知られている。研究代表者は、このDNAメチル化異常誘発には、自然免疫により産生されるIL-1βやTNFαによるDNA脱メチル化酵素の発現抑制、一酸化窒素によるDNAメチル化酵素の酵素活性増強が重要であることを解明した。一方、自然免疫に続いて発動する獲得免疫がDNAメチル化にどのように影響するかは不明である。本研究では、鳥肌胃炎をモデルとして用いて、自然免疫から獲得免疫へのシフトによる高度で質的に異なるDNAメチル化異常誘発の機序解明を目的とする。 3年目の本年度は、鳥肌胃炎症例におけるDNAメチル化異常の加速は、発がん前の症例においても認められることを明らかにした。また、胃体部におけるDNAメチル化解析をおこない、胃体部においても鳥肌胃炎症例は通常の萎縮性胃炎症例に比べてDNAメチル化異常の誘発が加速していることを明らかにした。
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