研究課題
1型自己免疫性膵炎を始めとするIgG4関連疾患は、血清IgG4が高値であること標的臓器においてIgG4陽性形質細胞の浸潤が特徴であり、日本から発信された疾患概念である。申請者はこれまで本疾患の病態生理について研究を続けてきており、本疾患の発症にはnaive 制御性T細胞(Treg)の減少が重要な役割をしており、末梢では活性化されたTregが増加しておりこのうちICOS陽性TregがIgG4産生に関与しており、ICOS陰性TregがTGF-betaを介して線維化に関与していることを見出した。さらに活性化したTregは、Mst-1が十分に機能していないため接着能に問題があり十分に制御性機能を示せないことを報告してきた。また自然免疫反応の関与については、本疾患にTLR7陽性M 2マクロファージが線維化をはじめとする病態生理に関与していること、さらに通常膵臓には認められない好塩基球が1型AIP患者の膵組織に浸潤しており末梢血における好塩基球はアトピー性皮膚炎とともにTLR2/4にて活性化率があがることを報告した。 そこで本研究においては、さらに自然免疫に関与する細胞の役割をを明らかにすることにより病態生理を解明することを目的とした。好塩基球は2型自然リンパ球(ILC2)との関係が重要であることが報告されているが、ILC2は健常人と比較して慢性膵炎でも増加しておりILC3も1型AIP、慢性膵炎ともに健常人と比較して増加していることは既報のとおりであるが、iNKT細胞、MAIT細胞、γδT細胞というInvariant T細胞について、健常人20名、慢性膵炎8名、1型AIP21名について比較検討したが疾患特異的な変化はみられなかった。
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