研究課題/領域番号 |
21K07945
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
新沼 猛 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60708113)
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研究分担者 |
鈴木 拓 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20381254)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | long noncoding RNA / 消化器がん |
研究実績の概要 |
消化器癌におけるDLEU1の機能解析を行うために大腸癌細胞株を用いてDLEU1をノックダウンし細胞増殖に与える影響についてcell viability assayを行った。大腸癌についてはいずれの細胞株においてもDLEU1のノックダウンは細胞増殖を抑制した。DLEU1のノックダウンがIFNシグナルに与える影響を調べるためにDLD1、SW480においてIFITM1、IFITM3の発現をRT-qPCRにて解析したところ、口腔扁平上皮癌と異なり、これらのISGsは発現が不変~上昇傾向であった。ISGsに与える影響についてもRT-qPCRにより解析したが、一定の傾向を示さなかった。口腔がん細胞株の遺伝子発現マイクロアレイ解析からDLEU1のノックダウンはIL1の発現を減少させる結果が得られており、qRT-PCRによる解析においても同様の結果が得られた。レンチウイルスを用いたDLEU1の過剰発現系においてはIL1の発現上昇が認められた。アクチノマイシン添加による解析の結果、DLEU1の過剰発現によりIL1のmRNA安定性が亢進する事が確かめられた。反対に、DLEU1のノックダウンではIL1のmRNAの安定性が低下しており、DLEU1はIL1の安定性に関与することでその発現上昇に寄与する事が推察された。レポーターアッセイによるNFKBシグナル経路の活性について解析した結果、DLEU1の過剰発現によりNFKBシグナルの亢進が認められた。ウエスタンブロットでもDLEU1過剰発現によるリン酸化p65の亢進が確認され、DLEU1がNFKBシグナル経路の活性化を介してIL1の発現上昇させることが推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大腸癌においてはDLEU1のノックダウンにより口腔扁平上皮癌での解析と同様に、細胞増殖が抑制される結果であったが、IFNシグナルに与える影響は少ないと考 えられた。食道癌においてはDLEU1のノックダウンが細胞増殖に与える影響については口腔扁平上皮癌と異なると考えられ、IFNシグナルに与える影響においても 異なっていた。口腔がん細胞の解析からはDLEU1はNFKBシグナル経路の活性化とmRNAの安定性に寄与する事で、IL1の発現を上昇させる事が示唆された。以上からDLEU1はIL1の発現上昇を介しISGsの発現を制御する事が示唆されたため、今後更なる解析を行う事とする。
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今後の研究の推進方策 |
DLEU1のNFKBシグナル、IL1を介したISGsの制御機構について更なる解析を行う。STATのリン酸化についてウェスタンブロットによる解析、またはレポーターアッセイによる解析を行う。IL1B添加によるISGsの誘導がIL1受容体のノックダウンにより抑制されるかをqRT-PCRを用いた発現解析を行い検証する。またIL1添加による遺伝子発現変動についてRNA sequencingを行い解析する。また、他の消化器がん細胞株を用いた機能解析、IFNシグナルに与える影響についても解析を継続する。その際にはIL1による制御機構が存在する可能性についても解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
大腸癌、食道癌細胞株を用いてDLEU1がインターフェロンシグナルに与える影響を解析したが、口腔扁平上皮癌とは異なり、大腸癌・食道癌においてはDLEU1がISGsの発現に与える影響は少ないと考えられた。そのため遺伝子発現をマイクロアレイなどで、ヒストン修飾状態をChIP-sequencingにより網羅的に解析する予定であったが行えなかった。口腔がん細胞を用いた解析からDLEU1にはNFKBシグナル、IL1を介したISGsの制御機構が存在する可能性が示唆されたため、まずは口腔がん細胞を用いた解析を継続するととともに、胃癌細胞株、膵癌細胞株、肝がん細胞株などを用いた解析を継続する。これらの細胞株を用いて、RNAシークエンスによる網羅的な遺伝子発現解析、ChIPシークエンスによるヒストン修飾の解析などを行う予定である。また遺伝子発現解析試薬・レポーターアッセイ試薬類・細胞機能解析試薬類の購入を予定している。
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