研究課題/領域番号 |
21K07947
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
土肥 統 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60599752)
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研究分担者 |
廣瀬 亮平 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50795383)
高木 智久 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70405257)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 十二指腸粘膜由来細菌叢 / オルガノイド / メタゲノム / メタボローム |
研究実績の概要 |
本研究では十二指腸癌と関連する十二指腸粘膜由来細菌叢(duodenal mucosa-associated microbiota: D-MAM)から産生される腸内細菌叢由来発癌関連因子による十二指腸粘膜の遺伝子・分子異常について、腸管オルガノイド技術を駆使して解析し、十二指腸癌の早期発見や予防につながる先制医療の戦略開拓を行う予定である。十二指腸内視鏡検査において十二指腸癌患者および非癌患者を選定し、内視鏡下の粘膜ブラシ検体サンプリングを行った。回収した粘膜ブラシ検体から次世代シークエンサーを用いて16S rRNAメタゲノム解析を行い、大量の配列を取得し、相同性検索および系統分類解析を実施した。腫瘍群:健常群=30:24例であった。腫瘍群において、多様性を比較したところ、α多様性は部位による差を認めず、β多様性はWeighted, Unweightedともに口腔粘膜と十二指腸粘膜で有意差を認めた。腫瘍表面と周辺粘膜のMAMを比較したところ、門レベル、属レベルで占有率に有意差のあるものは認めなかった。十二指腸粘膜において腫瘍群と健常群を比較すると、門レベルでは、p__Firmicutes、p__Bacteroidetesが腫瘍群で減少していた。属レベルでは、g__Lactobacillus、g__Prevotella、g__Neisseriaが腫瘍群で減少しており、g__Pseudomonasやg__Faecalibacteriumが腫瘍群で増加していた。さらに、腫瘍群と健常群の口腔粘膜を比較すると、属レベルではg__Actinomyces、g__Granulicatellaが腫瘍群で増加していた。メタボローム解析では、健常群と比較し、腫瘍群において、十二指腸粘液中のシトルリン、コリン、NAD+が減少していたことから、十二指腸粘膜由来細菌叢におけるコリン代謝経路の異常が明らかとなり、今後発表を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
メタボローム解析の主成分分析は終了し、今後Partial Least Squares(PLS)解析を追加する予定である。オルガノイド樹立の進捗が十分でない。
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今後の研究の推進方策 |
剖検体から得られた十二指腸上皮オルガノイドを培養し、樹立する方法を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
メタボローム解析に時間を要した。オルガノイドの研究を追加し、今後発表を行う予定である。
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