研究課題/領域番号 |
21K07952
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
桂田 武彦 北海道大学, 大学病院, 助教 (90507592)
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研究分担者 |
山本 幸司 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (70608322)
大西 俊介 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (10443475)
武井 則雄 北海道大学, 医学研究院, 助教 (50523461)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 羊膜MSC / エクソソーム / HSPB6 |
研究実績の概要 |
本研究では、羊膜MSCから産生されるHSPB6陽性エクソソームを用いた抗炎症効果の詳細を細胞実験ならびに炎症性腸疾患誘導性動物モデルを用いて、未だ適切な治療法がないヒト炎症性腸疾患に対する臨床応用への基盤を整える。本研究では、以下の通り、HSPB6過剰発現ならびにHSPB6欠損羊膜MSCの作成およびそれらエクソソームの樹立することを明らかにした。羊膜MSCのHSPB6過剰発現株ならびに遺伝子欠損株を樹立する。HSPB6過剰発現株の作成には、CMVプロモーター下にHSPB6遺伝子を挿入したプラスミドをMSCに導入後、薬剤選択による選別を行い、得られたクローンはウエスタンブロット法による野生型およびmockコントロールとの比較解析から、有意に発現増加の認められるクローンを選別することで樹立した。HSPB6欠損株の作成にはCRISPR/Cas9システムを採用し、ヒトHSPB6エクソン領域に特異的なgRNAを設計し、CAGプロモーター下でCas9およびT3プロモーター下でgRNAを発現するプラスミドを構築、MSCに導入し、genotypingによる標的遺伝子座での塩基の欠損が認められ、ウエスタンブロット法で標的分子の翻訳消失が認められるクローンを選別した。結果、20個のクローン中4~5個程度の目的クローンが選別することができた。さらに、その細胞からエクソソームを精製し、HSPB6の発現について確認したところ、HSPB6過剰発現株ではMOCKに比べてHSPB6の発現が増加していた一方、HSPB6欠損株では、HSPB6の発現が消失していることを確認した。これらのことから、本研究において、HSPB6過剰発現株ならびにHSPB6欠損発現株が樹立され、さらに両株から産生される目的となるエクソソームも精製することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りにHSPB6過剰発現エクソソームならびにHSPB6欠損エクソソームが樹立されたため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究成果では、羊膜MSC由来エクソソーム内の含まれるHSPB6の抗炎症効果を評価するために遺伝子組換え技術により、HSPB6過剰発現エクソソームならびにHSPB6欠損エクソソームが樹立された。これにより、次年度は、炎症細胞を用いたHSPB6過剰発現ならびにHSPB6欠損羊膜MSC由来エクソソーム処理後の炎症評価の検討を実施する予定である。具体的には、上記で作成されたHSPB6過剰発現エクソソームならびにHSPB6欠損エクソソームの炎症性評価を明らかにするために、マウス由来マクロファージを用いて、LPSの刺激後、それぞれのエクソソームを処理し、炎症性サイトカインの発現ならびに細胞培養上清中に産生される複数の炎症性サイトカインをELISA法にて検証する。また、炎症性サイトカインの産生に重要な転写因子Ik-BやNF-κBの活性化についてもウエスタンブロット法で評価する。さらに、細胞内へのHSPB6の取り込み能を確認するために各エクソソームを蛍光標識でラベル化し、エクソソームの細胞への取り込み能を顕微鏡下で観察するほか、エクソソーム処理後のマウス由来マクロファージ内のHSPB6の発現をウエスタンブロット法で解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)コロナウイルスの影響で納品に遅れが生じたため (使用計画)炎症細胞を用いたHSPB6過剰発現ならびにHSPB6欠損羊膜MSC由来エクソソーム処理後の炎症評価の検討を行うための必要な消耗品の購入を予定している。
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