バレット食道(Barrett's esophagus:BE)と食道腺癌(Esophagealadenocarcinoma:EAC)の内視鏡検体を用いて次世代シークエンスを行い,2017年11月~2020年3月に当院で上部消化管内視鏡検査または治療を受けた,併存EACのないBE患者24例[Short segment BE(SSBE) 12例,Long segment BE(LSBE 12例],及びEAC患者 9例(11病変:EMRC 3病変,ESD 8病変)の計33例を対象としターゲットシークエンスを施行,確認された体細胞変異に対しOncoKBを照会してPutative driver (Likely oncogenicあるいはoncogenic変異)を同定した.検体毎のPutative driverの数(median,range)SSBE/LSBE/EAC/Surrounding BEでそれぞれ0(0-1)/0(0-1)/1(0-3)/1(0-2)であり,Surrounding BEはEACと差を認めない一方で,BEよりも多くのPutative driverを有していた(それぞれp=1.00,p<0.01). EAC患者のSurrounding BE,EACのいずれにおいても,最も頻度の高い変異遺伝子はTP53(ともに66.7%)であった.TP53のPutative driverは併存EACのないSSBE 2例(16.7%)でも認められた.本年度はバレット新たに3症例に対して内視鏡治療を行い、症例の集積に努めた.
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