研究課題/領域番号 |
21K07957
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 友隆 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10815781)
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研究分担者 |
宮林 弘至 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50634961)
伊地知 秀明 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70463841)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | オルガノイド / 膵癌 |
研究実績の概要 |
膵癌は依然として最難治癌であり、膵癌の病態の理解に基づいたより有効な治療法の開発は急務である。簡便かつ迅速な遺伝子診断が可能となり、遺伝子情報に基づくプレシジョン医療が膵癌においても試されていたが、膵癌では治療標的となる遺伝子変異が乏しいこと、豊富な間質と腫瘍の相互作用により治療抵抗性を示すことなどの問題もある。そのため、癌細胞の遺伝子発現、代謝、タンパク質解析などを加えて総合的に解析するマルチオミクスと、それに影響する間質細胞の解析が新規の治療戦略開発に期待されており、さらなる病態の理解が不可欠である。膵癌患者由来オルガノイドは膵癌の病態を理解するための強力なツールで あり、薬剤スクリーニングと遺伝子発現解析から薬剤感受性シグナチャーによるプレシジョン医療を提唱すると共に、オルガノイドの3次元培養と移植マウスモデル、患者の薬剤感受性の違いから薬剤耐性のメカニズムや腫瘍間質相互作用の解析を行った。 膵癌患者由来オルガノイドを樹立し、対応する患者よりcirculating tumor cellからのオルガノイド樹立を試みて、条件検討を行った。 分子サブタイプに基づいた個別化医療について、KRAS誘導性とTP63誘導性のbasal-like型腫瘍のMEK阻害剤への感受性の違いを検討するため、RNAシークエンスを行い、ヒト、マウス由来の遺伝子発現がそれぞれ癌由来、間質由来であるため、腫瘍と間質を別々に解析した。MEK阻害剤投与による遺伝子発現の変化を解析し、 治療抵抗性に関わる分子、シグナル経路を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膵癌患者由来オルガノイドを樹立し、対応する患者よりcirculating tumor cellオルガノイドの樹立の条件検討中である。また、KRAS誘導性とTP63誘導性のbasal-like型腫瘍のMEK阻害剤への感受性の違いを検討するため、RNAシークエンスを行い、MEK阻害剤投与によってよる遺伝子発現の変化を解析し、 basal-like型の性質が抑制されるが、TP63の発現には変化がなく、MEK阻害剤で抑制されるのはKRAS誘導性basal-like型の可能性が示唆され、分子サブタイプに基づく個別化医療につながる発見ができた。以上より、研究は順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、circulating tumor cell由来オルガノイドの樹立に努め、同一患者から得られた超音波内視鏡下針生検由来、化学療法前後circulating tumor cell由来オルガノイドのRNAシークエンスや、薬剤スクリーニングを施行し、オルガノイドを用いた個別化医療につなげる。 MEK阻害剤投与による遺伝子発現の変化の解析をさらに進め、治療抵抗性に関わる分子、シグナル経路を検討する。
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