研究課題/領域番号 |
21K07967
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
井上 健 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10613945)
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研究分担者 |
全 完 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80319128)
堀内 久徳 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90291426)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 消化管粘膜血管異形成 / 高ずり応力 / 後天性フォンウィルブランド症候群 / 消化管出血 |
研究実績の概要 |
高齢化に伴う大動脈弁狭窄症(AS)症例、また植込型LVAD(左室補助人工心臓)等機械的補助循環による治療症例も急増しているが、それに伴う原因不明の消化管出血や消化管出血性合併症が頻発している。これらでは,高ずり応力により止血機能に重要なフォンウィルブランド因子(VWF)の機能異常が生じ、出血性疾患である後天性フォンウィルブランド症候群(AVWS)を発症する。その結果、全消化管に粘膜血管異形成が形成され出血の合併を認める。しかしその頻度や出血部位など病態は未だ不明である。本研究では、AVWSにおいて、高ずり応力下のフォンウィルブランド因子(VWF)の機能低下が消化管粘膜血管異形成と出血の原因であるとの仮説のもと研究を展開している。今後増加が予想されるAVWSにおける消化管出血とリスク因子の相関関係を明らかにすることを目的として研究を行った。 以下,研究活動状況の概要を記す。 本研究は京都府立医科大学医学倫理審査委員会にて承認された(ERB-C-1549)。既に重症AS症例50例のエントリーを行った。一ヶ月に一度、Zoomによるディスカッションを行い、研究の遂行に関する打ち合わせを行った。重症AS症例50例において全消化管精査を行い、驚くべきことに、70%に消化管血管異形成を認めた(小腸60%、大腸40%、胃20%(重複あり))(未発表)。また現在、既に40症例のVWF高分子多量体の定量的解析を終了した。78%の症例でVWF高分子多量体が低下していた。 本研究は,学外研究者との交流が飛躍的に活性化し,希少難治性疾患の診療に直結するエビデンス創出研究、R3~R5、「高ずり応力を伴う循環器疾患に随伴する消化管血管異形成の形成・消退の実態解明」のプロジェクト、日本消化管学会多施設共同臨床研究助成、R3~R4、「ハイド症候群における消化管出血リスク予測法の開発」に発展した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に予定症例数のエントリーは終了した。
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今後の研究の推進方策 |
重症AS50例のエントリーは終了しており、40例の解析は終了した。本研究は,学外研究者との交流が飛躍的に活性化し,希少難治性疾患の診療に直結するエビデンス創出研究、R3~R5、「高ずり応力を伴う循環器疾患に随伴する消化管血管異形成の形成・消退の実態解明」のプロジェクト、日本消化管学会多施設共同臨床研究助成、R3~R4、「ハイド症候群における消化管出血リスク予測法の開発」に発展した。また,本共同研究で明らかになった後天性フォンウィルブランド症候群におけるフォンウィルブランド因子高分子多量体解析の成果は,消化管粘膜血管異形成の病態の解明に結びつき,今後の発展が期待されている。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外学会での発表がとりやめとなったため。また、VWFマルチマー解析用の検体輸送がコロナの影響で遅れているため。国際学会での発表を予定している。またVWFマルチマー検体の輸送再開が可能となったため、検体解析を再開する。
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