• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

脂肪幹細胞付きシートによる肝線維化改善の分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K07970
研究機関金沢医科大学

研究代表者

尾崎 一晶  金沢医科大学, 医学部, 准教授 (20329379)

研究分担者 飯田 安保  金沢医科大学, 一般教育機構, 准教授 (10337173)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードヒト脂肪由来幹細胞 / 脂肪由来幹細胞付きシート / 肝硬変モデルラット / 肝線維化改善
研究実績の概要

最初に、ヒト患者(n=3)より提供された脂肪組織を組織培養用試料調整キット(Lipogems)を用いて無菌的に破砕、洗浄、濃縮しLipogems productを作成した。それらをポリ乳酸シート上で培養し、各患者由来の脂肪由来幹細胞(ADSC)を回収した。フローサイトメトリー法によりADSC特異的表面抗原群の発現を確認したところ、3株ともにADSCの性質を示していた。分化能を調べるために脂肪細胞分化培地で培養したところ、脂肪細胞分化能が高い株と低い株が存在した。このため、脂肪細胞分化能が高かったADSC株のみ選択し、ポリ乳酸シート上で1週間培養し、脂肪由来幹細胞付きシート(ADSCシート)を作成した。それらシートを、8 週間の四塩化炭素処理により作成した肝硬変モデルラットの肝臓表面に貼付し、貼付8週間後に肝臓を摘出した。肝組織切片を作成しアザン染色にて肝線維化の程度を解析した結果、未処理の肝臓と比較して線維化が改善されていることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ADSCシート貼付により、肝硬変モデルラットの肝線維化が改善されることを明らかにできた一方で、貼付したADSCシートの枚数を増やしても、肝線維化の改善は平衡状態に達することが判明した。そこで、ラットから採血を行い血清生化学データを解析したところ、依然として、ADSCシートの貼付枚数とALTの改善程度には正の相関を認めた。上述の如く、本研究中に想定外の現象を認めたものの、このことにより、ADSCから分泌されるエクソソームや何らかのサイトカインが、MMP2などの線維化分解酵素ではなく、IL-6などの炎症抑制系のシグナルを誘導することにより、肝線維化を改善させる可能性が示唆された。

今後の研究の推進方策

ADSCシート貼付有りと無しの肝硬変モデルラットの肝臓を用いて、遺伝子発現にどのような変化が起こったのか、マイクロアレイと次世代シーケンサーを用いてmRNA発現変化を網羅的に解析していく。その際、線維化分解系よりも炎症抑制系のシグナルに重点を置いて解析を進める。

次年度使用額が生じた理由

ADSCシート貼付による肝硬変モデルラットの肝線維化の改善機序の解明には、マイクロアレイと次世代シーケンサーを用いて、肝組織中のmRNA発現の変化を網羅的に解析することが必要であるが、まだ実施できていないため。次年度に、肝組織からのmRNAの抽出および解析に要する費用を、主に物品費から支出する予定である。また、新型コロナウイルス感染症の蔓延により学会発表がWeb主体となっていたが、感染の終息に伴い、次年度以降は対面での学会が開催される見込みであるため、旅費を支出予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 高血糖をともなう飲酒者は肝障害を悪化させる2022

    • 著者名/発表者名
      久保田龍一, 橋爪智恵子, 福村敦, 野村匡晃, 湊貴浩, 齊藤隆, 尾﨑一晶, 竹内正義, 堤幹宏, 土島睦
    • 学会等名
      第30回日本消化器関連学会週間

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi