1. C型慢性肝炎患者の経過におけるC型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子変異バイアスの特徴: C型慢性肝炎患者4例ならびに肝移植C型肝炎再発症例4例の抗HCV治療開始前ならびに治療終了後の血清におけるHCV遺伝子配列を1分子リアルタイム・シーケンサーならびに次世代シーケンサーを用いて同定した。HCV遺伝子配列の変化を経時的に比較して分子系統樹解析を行い、HCV遺伝子変異バイアスの特徴としてtransition変異が多く生じていること、中でもA→GとU→C変異の頻度が高いことを明らかにした。一方で、既知の薬物耐性変異はtransversion変異によっても生じており、変異が生じたHCVクローンが選択されて増殖していることを示した。以上の結果を論文発表した。さらに、免疫抑制状態である肝移植後と免疫能が正常な通常のC型慢性肝炎と比較検討し、変異バイアスが同様であることを明らかにした。 2. B型肝炎ウイルス(HBV)の遺伝子構造変化の意義: HCVで解析した方法と同様に、B型慢性肝炎患者10例の血清よりDNAを抽出し、HBV-DNAをPCRにて増幅し、1分子リアルタイム・シーケンサーならびに次世代シーケンサー解析を行った。その結果、大きな変化としてHBVのpreS/S領域ならびにC領域に欠失を認めるHBVの構造変化を多数例で認めた。このHBV構造変化と臨床経過の特徴との関連を解析し、HBe抗体陰性例や肝酵素高値例で多様な遺伝子欠失を認めていることを明らかにした。以上の結果を論文発表した。さらに、1分子リアルタイム・シーケンサーならびに次世代シーケンサー解析結果を元に、分子系統樹解析を行った。
|