研究課題
申請者はB型肝炎に対する経鼻治療ワクチン(CVP-NASVAC)を開発し、B型肝炎患者を対象とした医師主導の特定臨床試験を行った。臨床試験にてCVP-NASVACによるHBs抗体誘導、HBs抗原低下、一部の症例におけるHBs抗原の消失を明らかにした。本研究では、CVP-NASVACの効果を高めるため、CVP-NASVACにHBx抗原を加え(NASVAC-X)、治療効果の向上を目指す。本研究課題で、マウスへの経鼻投与法を確立した。最小径の経鼻投与デバイスを用いて、安定して、マウスにCVP-NASVACの投与が可能となった。経鼻投与後、IgG型HBs抗体とIgG型HBc抗体の上昇を確認した。さらに、CVP-NASVACを経鼻投与したマウスの血清を用いて、IgA型HBs抗体とIgA型HBc抗体の測定をELISAにて確立した。また、CVP-NASVACを経鼻投与したマウスの脾細胞を用いて、HBs抗原特異的CTL、HBc抗原特異的CTLの測定法をELISPOTにて確立した。HBV-DNA量を50μLの少量血清で測定するRT-PCRの測定系を確立した。また、in vitroにおけるHBV中和実験系を確立した。HBVトランスジェニックマウスを用いた経鼻治療ワクチンの治療効果の評価系が確立した。昨年度より、HBx抗原を皮下・経鼻投与したマウスの血清、IgG型HBx抗体とIgA型HBx抗体の測定をELISAにて試みている。
3: やや遅れている
当初の目的である経鼻投与法、HBs抗原・HBc抗原特異的な液性免疫(抗体)と細胞性免疫(抗原特異的CTL)の評価系、HBV中和実験、HBV-DNA量の定量測定系を確立した。一方、HBx抗原特異的な免疫応答の評価系の確立に難渋しており、研究課題はやや遅れている。
健常マウスを用いてHBx抗体(IgG型、IgA型)のELISAによる測定系の確立を引き続き、目指す。HBx抗体の測定系が確立しなくても、抗HBV効果の評価は可能であり、状況に応じては、HBVトランスジェニックマウスを用いた、CVP-NASVACとNASVAC-Xの経鼻投与による抗HBV効果(HBs抗原量、HBs抗体量、HBV-DNA量、HBV中和能)の検討を開始する。HBVトランスジェニックマウスにおけるNASVAC-Xの免疫誘導能を確認後、NASVAC-Xの抗腫瘍効果の検討を開始する。
消耗品の一部が割引で購入できたため、14,259円余剰した。
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Hepatology Research
巻: 53 ページ: 196~207
10.1111/hepr.13851