研究課題
本研究の目的は、ケモカイン受容体に着目して炎症性のTh17細胞と免疫寛容性のTh17細胞を識別する方法を確立することである。DSS投与による実験的大腸炎は、野生型マウスに比べCCR2/6二重欠損マウスで有意に軽症化した。更に、CCR2+/6+Th17細胞がGM-CSFを高産生することを見出し、炎症性Th17細胞はCCR2及びCCR6両陽性のTh17細胞であることが示唆された。本年度は、免疫寛容を担うTh17細胞の解析を進めた。CCR6単独欠損マウスの実験的大腸炎は野生型マウスに比べ重症化することから、このマウスで免疫抑制性の細胞が減少していることが示唆された。そこで、このマウスの腸管組織で減少している細胞集団を探索したところ、Th17細胞の転写因子RORγtを発現するT細胞が減少していた。更に、この集団を精査したところ制御性T細胞の転写因子として知られるFoxp3を発現する集団が有意に減少していた。すなわち、CCR6欠損マウスではRORγt/Foxp3両陽性のTh17細胞が減少していた。RORγt/Foxp3両陽性のT細胞は、既にpTreg細胞として腸管組織の恒常性に寄与することが報告されている。野生型マウスのpTreg細胞を調べたところCCR6の発現が顕著に高いことがわかり、この細胞がCCR6依存的に標的組織に遊走していることが考えられた。今後、これを証明するために、T細胞をRAG欠損マウスに移入して腸管組織への定着を解析する。その予備検討として野生型マウスの腸管組織および脾臓からのT細胞をRAG欠損マウスへ移入した。腸管組織由来のT細胞移入では、レシピエントの腸管組織にFoxp3陽性T細胞の定着が観察されたが、脾臓由来のT細胞ではこれらは観察されなかった。今後、CCR6欠損マウスと野生型マウスの腸管組織由来T細胞をRAG欠損マウスへ移入しpTreg細胞の定着を比較する。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (9件)
Internal Medicine
巻: 11 ページ: 1-4
10.2169/internalmedicine.3388-23
大分県医学会雑誌
巻: 31 ページ: 52-54
International Immunology
巻: 36 ページ: 241~256
10.1093/intimm/dxad055
Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 669 ページ: 103~112
10.1016/j.bbrc.2023.05.059