研究課題/領域番号 |
21K08012
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
米田 正人 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (10423831)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪性肝疾患 / サルコペニア / 門脈圧亢進症 / 胆汁酸 |
研究実績の概要 |
NAFLD疾患の場合,線維化が軽度であっても門脈圧亢進症状がおこりうるため,肝臓の線維化程度と門脈圧亢進症を非侵襲的に測定しうるMRエラストグラフィを用いることで同時に,非侵襲的に評価をすることが可能である. 本年度は2021年9月、医歯薬出版株式会社より発行された臨床栄養9月臨時増刊号「肝疾患エキスパートブック 栄養管理に活かすための最新情報」に「NAFLD/NASHにおけるサルコペニア肥満の現状と対策」の題で寄稿し、サルコペニアとNAFLDとの重要性を論じた. 1.NAFLD疾患に合併するサルコペニアの病態解明として,腹部CTで第3腰椎レベルの筋肉量を測定し,肝疾患関連のサルコペニアの有無と病態との関連を検討している. 2.NAFLD疾患のサルコペニア病態と肝脂肪化,肝線維化,門脈圧亢進症(脾硬度)の検討を行っている.門脈圧亢進症の代表として胃食道静脈瘤のスクリーニングのための非侵襲的試験として、近年、脾高度(Spleen stiffness measurement: SSM)を100 Hzの振動波で測定する脾臓専用フィブロスキャンが開発された。123人の慢性肝疾患患者で測定し,新規の脾臓専用フィブロスキャン検査は、食道静脈瘤の存在,および門脈圧亢進症の非侵襲的評価に有用性が示唆された.本結果はJGH Open. 2021 Dec 14;6(1):11-19で発表を行っている. また現在NAFLD患者の便中を収集しており,胆汁酸成分の変化の測定を予定している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NAFLDは過栄養の病態でありながら,骨格筋維持においては栄養障害の状態を呈するという2面性があり,サルコペニアの合併において独自の機序が想定されているが未解明である.本研究は,NAFLD患者に合併するサルコペニアの発症機序を肝臓の脂肪化,線維化,門脈圧亢進,胆汁酸組成変化の観点より解明するものである.本年度は2021年9月、医歯薬出版株式会社より発行された臨床栄養9月臨時増刊号「肝疾患エキスパートブック 栄養管理に活かすための最新情報」に「NAFLD/NASHにおけるサルコペニア肥満の現状と対策」の題で寄稿し、サルコペニアとNAFLDとの重要性を論じ,JGH open誌で脾臓専用フィブロスキャン検査が、食道静脈瘤の存在,および門脈圧亢進症の非侵襲的評価に有用性であることを報告できた.
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今後の研究の推進方策 |
現在,NAFLD疾患に合併するサルコペニアの頻度,病態の解明を進めている.NAFLDで起こっている肝病態とサルコペニアの関連の集積を行い,解析を行う.またNAFLD疾患のサルコペニア病態と肝脂肪化,肝線維化,門脈圧亢進症(脾硬度)の検討としてMRエラストグラフィを用いて肝臓の脂肪化定量(MRIのPDFF法),肝線維化評価(MRエラストグラフィでの肝硬度),門脈圧評価(MRエラストグラフィの脾硬度,CTでの脾体積)を用いてサルコペニア病態との関連を検討する。また現在NALFD患者の便を収集中であるが,サルコペニア病態に関与する便中,血中胆汁酸変化の検討を行い,NAFLD患者におけるサルコペニア発症における門脈圧亢進症,胆汁酸成分の変化を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究に必要な物品として胆汁酸測定キットがあるが、現在便を収集中であり、測定は次年度以降になるため、キットの保存期間を考え、購入を次年度に行う予定である。また今年度は新型コロナ肺炎の影響があり、国内外の学会がWebでの参加となった。また予定していた学会の中で招待された場合が多く、予定した費用を使用しなかった。次年度は積極的に国内外での学会発表を予定している。
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