研究課題/領域番号 |
21K08012
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
米田 正人 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (10423831)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 非アルコール性脂肪性肝疾患 / サルコペニア / 門脈圧亢進症 / 肝線維化 |
研究実績の概要 |
本研究では非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)疾患におけるサルコペニア発症機序,門脈圧亢進症,胆汁酸変化およびその相互関係において検討を行っている.NAFLD患者の血中/便中胆汁酸を測定する研究は報告されていなかった.NAFLDの軽度線維化患者104人,高度線維化95人から便を採取し、便および血清胆汁酸と胆汁酸合成能力の代用マーカーである7α-ヒドロキシ-4-コレステン-3-オン(C4)を分析した.総便中胆汁酸濃度は,線維化進行NAFLD群では健常対象群に比べ有意に高値であった.糞便胆汁酸の多くは二次性胆汁酸であり分画では,コール酸,デオキシコール酸,チェノデオキシコール酸,ウルソデオキシコール酸,リトコール酸がNAFLD群で健常対象群に比べ有意に高値であり,血清総総胆汁酸濃度は、線維化の悪化したNAFLD群で健常対象群より高値であった.血清胆汁酸画分ではコール酸,LCA,C4濃度がNAFLD群で健常対象群より有高値であった.本検討はClin Transl Gastroenterol. 2022 Jul 1;13(7):e00503.で発表を行っている. またNAFLD疾患におけるサルコペニアの合併重要性について「Impact of Sarcopenia on Non-Alcoholic Fatty Liver Disease」の題でNutrients.2023 Feb 10;15(4):891.誌に発表を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NAFLDは過栄養の病態でありながら,骨格筋維持においては栄養障害の状態を呈するという2面性があり,サルコペニアの合併において独自の機序が想定されているが未解明である.本研究は,NAFLD患者に合併するサルコペニアの発症機序を肝臓の脂肪化,線維化,門脈圧亢進,胆汁酸組成変化の観点より解明するものである.前年度はMREを用いた肝硬度および脾硬度を用いた門脈圧亢進症/胃食道静脈瘤のスクリーニンの有用性の解析を行いJGH Open. 2021 Dec 14;6(1):11-19誌で発表を行っている.また臨床栄養「肝疾患エキスパートブック 栄養管理に活かすための最新情報」に「NAFLD/NASHにおけるサルコペニア肥満の現状と対策」の題で寄稿し、サルコペニアとNAFLDとの重要性を論じている。 本年度はNAFLD疾患の進展に関与する胆汁酸変化を検討しており,Clin Transl Gastroenterol. 2022 Jul 1;13(7):e00503.で発表,およびまたNAFLD疾患におけるサルコペニアの合併重要性について「Impact of Sarcopenia on Non-Alcoholic Fatty Liver Disease」の題でNutrients.2023 Feb 10;15(4):891.誌に発表を行っている.本研究における成果を論文発表しており,おおむね順調に進行していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
現在,NAFLD疾患に合併するサルコペニアの頻度,病態の解明を継続して進めている. 現在NAFLDの線維化と門脈圧の変化については縦断的な検討を検討しており,MRエラストグラフィの肝硬度,および脾硬度の年次変化率と門脈圧亢進症に付随する臨床変化について検討を進めている.また今まで検討して得られたデータをもとに,肝硬度,脾硬度,門脈圧亢進症,腸内細菌叢の変化,胆汁酸の変化,サルコペニアの関連性について相互関係の検討を行っていく予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
胆汁酸測定キットがあるが、来年度さらに測定を予定し、購入予定である。今年度は新型コロナ肺炎の影響があり、国内外の学会がWebでの参加となった。また予定していた学会の中で招待された場合が多く、予定した費用を使用しなかった。次年度は積極的に国内外での学会発表を予定している。
|