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2022 年度 実施状況報告書

パネート細胞の性状変化は炎症性腸疾患の起点となるか?―幼弱パネート細胞との関連

研究課題

研究課題/領域番号 21K08017
研究機関産業医科大学

研究代表者

馬場 良子  産業医科大学, 医学部, 准教授 (90271436)

研究分担者 森本 景之  産業医科大学, 医学部, 教授 (30335806)
國分 啓司  産業医科大学, 医学部, 助教 (00432740)
中村 健太  産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (60789692)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード回腸 / パネート細胞 / オルガノイド / DSS腸炎モデルマウス
研究実績の概要

炎症性腸疾患でパネート細胞の異所性出現および異常が生じることが知られている。また、パネート細胞の異常と腸炎発症やクローン病再燃との関連が報告される等、パネート細胞の性状が疾患の起点となる可能性が示唆されている。私達はこれまでに、発達段階のパネート細胞特異的にエピジェネティックな変化が生じ、その前後で形態的特徴が変化すること、未熟なパネート細胞の形態が疾患時と類似することを発見した。そこで、発達段階と疾患時のパネート細胞との形態的共通性、エピジェネティック制御の関与を解明する目的で本研究を計画した。パネート細胞の成熟に関わる機構を明らかにすることで、炎症性腸疾患発症の機序解明にも繋がると考える。
今年度はデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を用いて腸炎モデルマウスを作製し、炎症期と回復期の回腸について解析を行った。その結果、本モデルマウスの大腸、特に遠位部大腸では炎症期に陰窩の構造が消失し、回復期に正常より深い陰窩が出現するなど、変化が大きかった。その一方で、回腸を含む小腸において絨毛の形態に顕著な変化は見られなかったものの、炎症期の回腸において、陰窩の拡張、パネート細胞の肥大化、杯細胞の粘液分泌亢進が見られた。また、ライソザイムの発現増加や、細胞死/細胞増殖の変化、パネート細胞の顆粒内包物の糖鎖修飾の差異が認められた。同時に、オルガノイドに炎症性サイトカインを作用させ、in vivoとの共通性について解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、(1)正常マウスを用いた解析、(2)腸炎モデルマウスを用いた解析、(3)オルガノイドを用いた解析を計画している。
(1)の1)、2)、(3)の1)については、昨年度、解析が終了している。今年度は(2)の腸炎モデルマウスを作製し、1)超微形態学的解析、2)免疫組織化学的解析および、(3)の2)として、オルガノイドに炎症を誘導し、解析を進めている。

今後の研究の推進方策

今後、(1)、(2)については、比較すべきサンプルを精査した上で、マイクロアレイ解析を行う。(3)については、炎症を誘導したオルガノイドについて、詳細に解析を進める予定である。(3)の結果を見て、マイクロアレイ解析を行うサンプルとして、マウス小腸粘膜でなく、上皮のみからなるオルガノイドを用いることも視野に入れている。

次年度使用額が生じた理由

実験計画が前後することにより、若干の次年度使用が生じた。予定していたマイクロアレイ解析については、次年度行う予定で実験を進めている。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] The protein kinase R modifies gut physiology to limit colitis2023

    • 著者名/発表者名
      Yim HCH, Chakrabarti A, Kessler S, Morimoto H, Wang D, Sooraj D, Ahmed AU, de la Motte C, Silverman RH, Williams BR, Sadler AJ.
    • 雑誌名

      Front Immunol.

      巻: 14 ページ: 1106737.

    • DOI

      10.3389/fimmu.2023.1106737

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] The expression of matrix metalloproteinase-12 in the peritoneum of rats with continuous peritoneal dialysis.2023

    • 著者名/発表者名
      Hasegawa E, Miyamoto T, Baba R, Kokubu K, Nakamura K, Kataoka M, Morimoto H.
    • 雑誌名

      Clin Exp Nephrol.

      巻: 27(3) ページ: 203-210

    • DOI

      10.1007/s10157-022-02297-8.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pentacyclic triterpenoid ursolic acid induces apoptosis with mitochondrial dysfunction in adult T-cell leukemia MT-4 cells to promote surrounding cell growth.2022

    • 著者名/発表者名
      Shen M, Wang D, Sennari Y, Zeng Z, Baba R, Morimoto H, Kitamura N, Nakanishi T, Tsukada J, Ueno M, Todoroki Y, Iwata S, Yonezawa T, Tanaka Y, Osada Y, Yoshida Y.
    • 雑誌名

      Med Oncol.

      巻: 39(8) ページ: 118

    • DOI

      10.1007/s12032-022-01707-x.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Paneth cell maturation is related to epigenetic modification during neonatal-weaning transition.2022

    • 著者名/発表者名
      Baba R, Kokubu K, Nakamura K, Fujita M, Morimoto H.
    • 雑誌名

      Histochem Cell Biol.

      巻: 158(1) ページ: 5-13

    • DOI

      10.1007/s00418-022-02110-3.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Endogenous oxytocin exerts anti-nociceptive and anti-inflammatory effects in rats.2022

    • 著者名/発表者名
      Nishimura H, Yoshimura M, Shimizu M, Sanada K, Sonoda S, Nishimura K, Baba K, Ikeda N, Motojima Y, Maruyama T, Nonaka Y, Baba R, Onaka T, Horishita T, Morimoto H, Yoshida Y, Kawasaki M, Sakai A, Muratani M, Conway-Campbell B, Lightman S, Ueta Y.
    • 雑誌名

      Commun Biol.

      巻: 5(1) ページ: 907

    • DOI

      10.1038/s42003-022-03879-8.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] オルガノイド2022

    • 著者名/発表者名
      森本景之
    • 雑誌名

      臨床精神薬理.

      巻: 25(9) ページ: 1041-2

    • 査読あり
  • [学会発表] 炎症性腸疾患モデルマウス回腸上皮の形態学的解析2023

    • 著者名/発表者名
      馬場良子、中村健太、國分啓司、森本景之、藤田 守
    • 学会等名
      第128回 日本解剖学会総会・全国学術集会
  • [学会発表] オキシトシンは鎮痛効果および抗炎症効果をもつ2022

    • 著者名/発表者名
      吉村充弘、西村春来、野中有紀、馬場良子、森本景之、吉田安宏、堀下貴文、尾仲達史、村谷匡史、川﨑 展、酒井昭典、上田陽一
    • 学会等名
      第40回 産業医科大学学会総会
  • [学会発表] マウス近位結腸陰窩における杯細胞の粘液性状の差異2022

    • 著者名/発表者名
      國分啓司、馬場良子、中村健太、森本景之
    • 学会等名
      第54回 日本臨床分子形態学会 総会・学術集会
  • [学会発表] 腹膜透析モデルマウス動物におけるMMP-12の解析2022

    • 著者名/発表者名
      長谷川恵美、馬場良子、國分啓司、宮本 哲、森本景之
    • 学会等名
      第54回 日本臨床分子形態学会 総会・学術集会
  • [学会発表] 回腸パネート細胞の高分子取り込み機序2022

    • 著者名/発表者名
      中村健太、馬場良子、國分啓司、森本景之
    • 学会等名
      第64回 日本顕微鏡学会 九州支部集会・学術講演会
  • [学会発表] 合成2本鎖RNAによる腸上皮細胞死の解析2022

    • 著者名/発表者名
      森本景之、馬場良子、國分啓司、中村健太
    • 学会等名
      第64回 日本顕微鏡学会 九州支部集会・学術講演会

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公開日: 2023-12-25  

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