研究課題/領域番号 |
21K08020
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
由雄 祥代 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 肝疾患先端治療研究室長 (10774060)
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研究分担者 |
岡本 徹 大阪大学, 高等共創研究院, 教授 (80628595)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 肝硬変 / 免疫低下 / ナチュラルキラー細胞 |
研究実績の概要 |
近年分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の開発が進み、進行肝がん患者の予後は改善されつつあるが、まだ十分な治療効果とは言えない。肝がんによる免疫抑制は多重的であり、未知の免疫抑制系の存在が示唆される。ナチュラルキラー(NK)細胞は抗腫瘍・抗線維化免疫において重要な役割を果たすが、慢性肝炎/肝硬変・肝がん患者においてはその機能が低下している.NK細胞機能は複数の活性型・抑制型受容体の発現パターンにより制御される.慢性肝炎/肝硬変・肝がん患者においては、NK細胞頻度に差を認めなかったが、抑制型受容体ILT2とSiglecXの発現上昇、細胞傷害活性、ADCC活性低下を認めた.ILT2陽性CD56dimNK細胞では、ILT2陰性CD56dimNK細胞と比較して細胞傷害活性・ADCC活性ともに低下を認め、ILT2のブロッキングにより機能回復をきたした。Siglec-Xのリガンドはひがん部よりがん部に有意に多く発現した。Siglec-Xのブロッキング実験については今後検討する。 また、肝硬変患者において、血清sSiglecX高値群で予後不良(生存期間が短い)ことが明らかとなった。培養実験によりこの因子はマクロファージおよび単球から炎症刺激により産生された。現在、これらの因子の機能的な意義、治療標的としての可能性を探索している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床検体の収集は予定通りに行われており、血清・膜型因子ともに解析が進んている。
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今後の研究の推進方策 |
今回同定されているナチュラルキラー細胞機能低下関連因子、および可溶性Siglecについての機能的な意義を明らかにすること、および治療標的としての可能性を検証する。
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