研究課題/領域番号 |
21K08024
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
元木 博彦 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (50532058)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | メタボローム解析 / 心不全 / 終末期 / モニタリング指標 |
研究実績の概要 |
本研究は、代謝物の網羅的解析手法であるメタボロミクス解析を用いて高齢心不全患者の短期予後不良予測マーカー探索を行い、終末期生命活動のモニタリング指標確立を目指すものである。 近年本邦は超高齢社会を迎え心不全患者数とともに死亡者数増加が著しい。高齢心不全患者は治療抵抗性で短期的な予後予測指標は未確立である。適切な予後の見極めは、医療介入の見直しや緩和ケア・終末期ケアの導入など、提供するケアの選別に際し有益な情報となる。そこで本申請研究では患者血清のメタボロミクス解析により代謝物の変化を把握することで終末期生命活動のモニタリング指標を網羅的に探索することを目的としている。高齢心不全患者の予後不良予測マーカーの確立により、難治性と判断された症例については緩和ケア・終末期ケアの導入が促進され、それ以外の症例には治療計画や医療介入プランの再検討が可能となる。つまり、非がん領域における緩和ケア導入困難の原因であった心不全の病期診断がより確実なものとなる。今後確立されたマーカーが、患者の長期的な生命活動モニタリング指標としての有用性が検証されれば、長期予後予測や薬剤などの医療介入に対する効果判定にも応用されることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心不全患者の登録と予後追跡調査が完了した。登録症例数は1036例、2年間の予後追跡調査が実施された。心不全死亡までの期間を3区間設定し、3か月以内死亡、6か月以内死亡、2年生存とした。それぞれの期間に属する患者を10例ずつ無作為に抽出し、血清のメタボロミクス解析が施行される予定。
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今後の研究の推進方策 |
血清のメタボロミクス解析結果から、死亡までの期間と相関のある物質を探索することで、心不全死亡時期予測マーカーを決定する。従来の心不全予後予測スコアと予測精度を比較することで臨床的有用性について評価を行う。単独の物質を用いたマーカーで予後予測精度が低い場合は、複数のマーカーを用いた予測式を作成し、精度高く死亡が予測できる指標を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予後調査が2021年度まで継続されたため、対象患者の選定が2022年度となった。本年度でメタボロミクス解析対象患者が決定され、解析作業に入る予定となっており研究の進捗には問題ないと考えている。
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