研究課題/領域番号 |
21K08025
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
奥村 貴裕 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (60635598)
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研究分担者 |
吉田 恭子 (今中恭子) 三重大学, 医学系研究科, 教授 (00242967)
竹藤 幹人 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20709117)
鈴木 忠樹 国立感染症研究所, 感染病理部, 部長 (30527180)
室原 豊明 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (90299503)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 心筋炎 |
研究実績の概要 |
急性心筋炎は、ウイルス感染、自己免疫疾患、薬剤反応等によって惹起される心筋を首座とした炎症性疾患である。多くの場合、心機能障害、不整脈、急性心不全を主徴とする。劇症型心筋炎では、機械的循環補助装置(mechanical circulatory support; MCS)を必要とし、ときに致死的となる。近年、本疾患の認知度の向上や補助循環用ポンプカテーテル(Impella)の登場により、急性期管理の治療戦略も大きく変化してきた。2022年度は、研究代表者らがこれまでにおこなってきた、CHANGE PUMP試験(2000~2016年)、CHANGE PUMP-2試験(2000~2020年)、MERCURY試験(2019年~)の3コホートをもちいて、治療法や予後を比較し、各時代における治療実態の変遷と成績を検討した。全コホートでは、リンパ球性心筋炎の有病率が高く(85%、68%、75% [時代順])、次いで好酸球性心筋炎(13%、22%、25% [時代順])となった。入院時の左室駆出率はMERCURY試験で低く(31.9%、30.0%、14.1% [時代順])、ステロイド使用率は高かった(24%、40%、75%)。MCSの使用に関しては、Impellaの使用率が高く(0%、10%、94%)、IABPの使用率が低くなった(100%、92%、69%)。90日後の複合イベント(死亡、植込型補助人工心臓の装着、心臓移植)回避率は、改善しつつあった(52%、66%、81% [時代順])。急性心筋炎の特異的治療は現在確立してないが、急性期管理法の確立とMCSの技術進歩により、治療成績は向上している可能性があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現在の登録症例数は41例にとどまっており、研究進行は遅れていると判断した。当初本研究の立案時には、目標症例数は200症例と設定した。しかしながら、COVID-19パンデミックの影響もあり、急性心筋炎症例の確保に難渋した。このため、前年度より後向き観察研究を同時に進め、エビデンス構築に向けた解析を併せて行うこととしている。
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今後の研究の推進方策 |
症例数を確保するため、研究計画を見直し、2024年3月31日まで症例登録期間を延長した。さらに研究分担施設の追加を行った。同時に、WEBにて研究会議を開催し、症例登録の推進喚起を行った。今後、血液、尿および心筋検体の確保を進め、早期診断や予後に関連するバイオマーカーの測定を進めていく予定である。さらに、前年度より同時に進めている後向き観察研究データベースを用いて、急性期治療と予後との関連を解析し、成果を公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)COVID-19パンデミックの影響もあり、急性心筋炎症例の確保に難渋し、現在までの症例登録数は41例にとどまっており、十分数の血液、尿、心筋検体を収集できなかった。このため、測定に必要な費用を次年度以降へ繰り越すこととなった。 (使用計画)研究分担施設の追加と研究期間の延長により、登録症例数の増加を積極的に進める。収集した血液、尿および心筋試料を用いた解析を進める予定である。またEDCシステムの管理維持に費用が発生するため、前年度からの繰り越し費用をこれらに充てる。
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