研究課題/領域番号 |
21K08027
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮下 洋平 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60816312)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 突然死 / ゲノムデータ / クオリティチェック / EDCシステムへの登録 / 法医解剖 |
研究実績の概要 |
本研究は心臓突然死の遺伝学的背景が単一の遺伝子によるものではなく、複数の遺伝子変異の組み合わせにより発症していることを想定し、1:心臓突然死に関連する遺伝子変異と環境因子を明らかにする。2:その遺伝子変異・環境因子と解剖・検査所見の相関について評価・解明することを目的としている。既に申請者らは法医学領域の全エクソーム解析データの二次利用による本研究課題の解析許可を倫理委員会から得ており、本年度は研究計画に基づき以下の解析および登録を完了した。 ①全エクソーム解析結果のQuality Check(QC):シーケンス後のFASTQデータは申請者が構築した国際基準に準拠したゲノム解析パイプラインを用いて事例当たり平均約20万の遺伝子変異情報(VCFファイル)に変換される。このVCFファイルを基にゲノムデータの均質性・データ量・シーケンサー特性などについて事前にQCを行い、標準化・正規化を行った。このデータを基に遺伝統計学的解析を以下の通り前倒しで開始している。 ②Polygenic Risk Scoreの算出と解剖・各種検査所見との関連解析の実施:本年度は対象症例について各種法医解剖所見のEDCシステムへの登録を行い、解析に使用可能な状態となった。また突然死群および対照群の遺伝学的データを利用しExon領域を対象とした遺伝統計学的解析のための解析パイプラインの構築を開始した。上記解析パイプラインについてテストデータを用いて解析を行い、結果が出力されることを確認した。 上記解析は当初の予定よりも前倒しで進捗しており、次年度は遺伝統計学的解析の完了による突然死に関連する複数の遺伝学的要因の同定を目標とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画書上は2021年度は集積されたゲノムデータのクオリティチェックの実施及び法医解剖所見のEDCシステムへの登録完了を目標としていたが、上記に加え遺伝統計学的ゲノム解析パイプラインの構築が前倒しで進捗しているため「当初の計画以上に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は遺伝統計学的解析パイプラインの構築完了および実データを用いた解析の実施による突然死リスク遺伝子変異の網羅的抽出を目指す。さらに可能であれば当該遺伝学的因子と法医解剖所見の関連解析の実施も遂行する。上記解析の実施により、突然死病態に関連する遺伝子変異が同定され、その結果が各種解剖所見との相関について検討が可能になる。その結果、突然死の病態の一端が解明される可能性があると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は解析パイプラインの構築を行ったため、少数のテストデータを利用し、大規模な実データを使用した解析は行わなかった。そのため、解析にかかるサーバー等の物理的コストが当初の想定より抑えられた。次年度は本番データを取り扱う必要があるため、解析環境構築費が増加することが見込まれる。
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