研究課題
後天的要因に伴う心不全、心肥大、致死的不整脈の発症をRyR2からのCaM解離抑制により阻止しうるかの検証:心筋梗塞マウスモデル:LAD結紮による心筋梗塞モデルマウスにおいて、WTマウスに比しダントロレン慢性投与群(MI-WT+DAN)、RyR2 V3599K群(MI-V3599K)ともに、MI作成後にみられるカテコラミン負荷誘発性の心室頻拍は生じず、左室リモデリング、心筋細胞肥大も抑制され、予後は著明に改善した。(未発表)PAHラットモデル:モノクロタリン投与によるPAHモデルラットにおいて、ダントロレンの経口投与により、RyR2からのCaM解離抑制し、予後改善、右心機能改善を認めること、不整脈抑制効果を持つことを、Heart Rhythm誌に報告した(doi: 10.1016/j.hrthm.2022.02.003)。今後、RyR2V3599Kマウスと同様の変異を持つラットは繁殖させ、PAHにおいて予後改善効果を確認する予定としている。肥大抑制遺伝子の探査:候補15遺伝子のなかで、Herpud1遺伝子は、TACモデル左室心筋においてはV3599K KIマウスでHerpud1蛋白が有意に多く発現しており、H9C2細胞のHerpud1遺伝子knock down実験においてH9C2細胞の有意な肥大を認め、逆に過剰発現により肥大が抑制された。さらにHerpud1はNFATc4の核内移行を抑制することで細胞の肥大を抑制することを確認した。これはBiochemistry and Biophysics Reports誌に報告した(https://doi.org/10.1016/j.bbrep.2022.101248)。
2: おおむね順調に進展している
MIマウスはすでに実験を終了し、投稿段階にある。PAHモデルはダントロレン投与の論文がすでにacceptされた。肥大遺伝子についてもHerpud1は論文化終了した。KR-39038については入手が困難で苦労している。
Herpud1の肥大抑制の作用機序について検討する。KR-39038あるいはその他のGRK5 inhibitorについて検討する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件)
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