研究課題/領域番号 |
21K08056
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
山口 尊則 佐賀大学, 医学部, 准教授 (70834810)
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研究分担者 |
野出 孝一 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359950)
白木 綾 佐賀大学, 医学部, 特任教授 (50638252)
福井 暁 大分大学, 医学部, 助教 (70631381)
石井 悠海 大分大学, 医学部, 客員研究員 (20835607)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 心房細動 / 心房生検 / 線維化 / 構造的リモデリング |
研究実績の概要 |
本研究は心房細動に対するカテーテルアブレーション時に心房生検を行い、心房筋の組織学的評価を行うことで、心房細動の機序解明やカテーテルアブレーション後の予後に関する組織学的因子を探索することを目的とした研究である。合計400例の心房細動患者において心房生検検体の組織学的評価を行った結果、心房のvoltage低下で表現される心房の構造的リモデリングの組織学的背景は、間質の線維化だけでなく、線維化に先行する心筋細胞間隙の増大、心筋粗鬆化、心筋細胞密度の代用である心筋核密度の減少の4つの因子があることを発見した。また心房細動アブレーションを受けた症例の4-7%にアミロイド沈着を認めることが判明した。またそれぞれの組織学的変化について、電子顕微鏡検査や免疫染色化学染色による詳細な解析を行った。電子顕微鏡では増大した細胞間隙には血漿成分の漏出と幼弱なコラーゲンを認め、線維化の前段階であることが示唆された。また心筋粗鬆化の原因は心筋実質内の筋原線維の融解であることも判明した。マクロファージを中心とする炎症細胞浸潤の程度は線維化率とは関連せず、心筋粗鬆化率と関連した。心筋核密度は心筋細胞のサイズと負の相関を認め、心房筋における心筋肥大は心筋細胞数の減少に対する代償性変化の可能性が示唆された。心房細動の持続や心房細動アブレーション後の再発は細胞間隙率および線維化率と関連を認めたことから、これらの間質リモデリングが心房細動を持続させる、いわゆる心房細動基質であることが明らかになった。今後、ゲノム・マルチオミックス解析を進め、心房細動のメカニズムや心房構造的リモデリングの機序の解明を目指していく。
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