研究課題/領域番号 |
21K08066
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研究機関 | 大阪人間科学大学 |
研究代表者 |
山岸 正和 大阪人間科学大学, 保健医療学部, 教授 (70393238)
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研究分担者 |
岡田 寛史 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (10735161)
多田 隼人 金沢大学, 附属病院, 助教 (90623653)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 家族性低βリポタンパク血症 / アポB / PCSK9 |
研究実績の概要 |
申請者らはこれまで本邦でも最大規模の遺伝性脂質異常症データベースを運営し、著明な高LDLコレステロール血症を呈する家族性高コレステロール血症(FH)で約3,000症例中約80%で原因分子を同定しその機能異常を明らかとしてきた。しかし、逆に著明な低LDLコレステロールを呈する家族性低ベータリポ蛋白血症(FHBL)約200症例の中で殆ど原因分子の同定に至っていない。一方、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)及びPCSK9抗体製剤は肝臓内でのLDL受容体過発現させることによりLDLコレステロール低下作用を発揮する。従ってLDL受容体の欠損したホモ接合体性FHに対してはこれらの薬剤は無効であり、かかる症例に対しても安全かつ有効な薬剤の開発が望まれる。本研究の目的は、網羅的遺伝子解析法を用いてFHBLにおける未解明の原因分子を同定し、安定同位体を用いた代謝実験(in vivo)及び疾患特異的iPS細胞による代謝実験(in vitro)によりその病態を明らかとすることである。FHBLはこれまで長寿症候群と考えられ、このような一群のDNAやその表現型を収集しているグループは世界的にも皆無であり、これまでFHBLに対する網羅的遺伝子解析による新規分子の探索の試みは皆無である。従って本アプローチは世界初の試みであると思われる。家族性低ベータリポ蛋白血症(FHBL)200例に対する全エクソームシークエンス解析は終了し、本邦初と思われるPCSK9遺伝子機能喪失型変異ホモ接合体による症例を認め、英文雑誌へと報告した。また、家族性高コレステロール血症(FH)の表現型とFHBLの表現型のオーバーラップした家系を同定し、英文雑誌へと報告した。今後さらなる機能解析を予定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り全エクソーム解析を終了し、極端な表現型の希少な病原性変異を有する家系を複数同定するに至った。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子変異を有する発端者及び変異を有さない血縁者に協力を求め、安定同位体(2H3-ロイシン)を用いた代謝実験(in vivo)を行い、アポB含有リポ蛋白・各分画について、それぞれ生成率・異化率を算出する。さらには新規原因分子の探索を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次世代シークエンサーに係る消耗品費が予定より少額で済んだため。また、新型コロナ感染症の影響により学会や会議等がオンラインとなり旅費の使用が無かったため。差額については今後代謝実験などに使用予定である。
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