研究課題/領域番号 |
21K08067
|
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
朝倉 正紀 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80443505)
|
研究分担者 |
西村 晃一 兵庫医科大学, 医学部, 病院助手 (30724116) [辞退]
閔 庚徳 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (00909004)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 心不全 / 肺 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
心不全は多臓器連関であり、心臓の単純な評価と解析ではその全体像を把握することはできない。特にその主訴である労作時息切れには多様なメカニズムが関与しており、大きくは呼吸器の影響を受けているが、体循環と並列している肺についての医学的位置づけにおいてはうっ血などの生理学的関連性の理解に終始し、詳細な病理学的、分子生物学的な関わりについては十分解明されていない。心不全パンデミックと言われる心不全患者の増大を考えるとき、多臓器連関である心不全という病態において肺の役割を明らかにし、その病理学的位置づけや治療を考える際の重要性について再定義を進める必要がある。我々は特に肺における遺伝子発現変化、分泌蛋白の変化、さらに病理組織学的変化が心不全病態にもたらす影響が小さくないと仮定し、これを詳細に解析することを本研究の目的としている。新型コロナウイルス感染症の対策を受けて、呼吸器関連の検査体制の整備、および関連する患者のスクリーニングに難渋する時期が長かったが、第5類感染症に指定を受けたことをうけ、研究環境の整備を行った結果、当該患者の検査体制をコロナ以前のレベルに概ね戻すことに成功し、さらに運動負荷検査を導入することに成功した。これを受けて慢性心不全患者の肺機能および肺循環の圧変化とバイオマーカーの関連を安静時のみでなく運動負荷時(運動負荷エコー、運動負荷カテーテル検査)でも比較しつつ検体の収集を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症が第5類に分類されたことを受け、呼吸機能検査やエルゴメーター負荷呼気ガス分析などを積極的に導入できる体制を整えた。また運動負荷カテーテル検査の機器を導入し、慢性心不全患者に運動負荷をかけた際の血行動態を解析しており、血液バイオマーカー、その他解析用検体を運動負荷検査中に収集できる体制を整えた。
|
今後の研究の推進方策 |
慢性心不全の主訴は労作時の息切れであり、似通った安静時検査結果をもつ患者間でも労作時の症状に個人差が大きい。すなわち労作時の評価は心不全の個別化医療には必須である。これをバイオマーカーレベルまで含めて血行動態と絡めて解析していくことで本研究の目的である肺と心不全の連関にアプローチしていrくことができる。症例をさらに集積していき、解析をすすめる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症による影響を受け、呼吸機能検査や呼気ガス分析などを用いた研究計画に遅れが生じた。しかしながら、第5類感染症への移行を受けて検査体制や対象患者の組入れ体制を再度整備し、以前とほぼ同様レベルの検査診療体制を整えることができた。また運動負荷エコー、運動負荷カテーテル実施体制もあわせて整備し、安静時ならびに負荷時の運動耐容能、心肺機能、血行動態の検査が可能となったため、次年度はこれらの検査で収集したデータや検体解析の結果を用いてさらに研究を加速する。
|