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2021 年度 実施状況報告書

肺高血圧症におけるgp130依存性サイトカインシグナルの役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K08070
研究機関国立研究開発法人国立循環器病研究センター

研究代表者

石橋 知彦  国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 上級研究員 (30722285)

研究分担者 稲垣 薫克  国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 上級研究員 (20638366)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード肺動脈性肺高血圧症 / gp130 / CD4 T細胞 / IL-6 / サイトカイン
研究実績の概要

肺動脈性肺高血圧症 (PAH) は厚生労働省指定難病であり予後不良の疾患である。病因はいまだ不明であり、治療成績向上のためにも病態解明が不可欠である。本研究の目的は、免疫細胞がPAHの病態形成に果たす役割を明らかにすることであり、特に炎症性サイトカインであるインターロイキン-6 (IL-6) の受容体を構成する分子である、glycoprotein 130 (gp130) を介したシグナルの意義に着目をして解析を進めた。
CD4陽性T細胞におけるgp130依存性サイトカインの役割を検討するため、gp130をCD4 T細胞特異的に欠損させたマウスで低酸素誘発性肺高血圧症 (HPH) モデルを作製したところ、肺高血圧症の表現型が減弱した。低酸素負荷マウス肺のCD4 T細胞では、IL-6/gp130シグナルの下流にあるSTAT3のリン酸化が生じるが、CD4細胞特異的gp130欠損マウスでは低酸素負荷によるSTAT3リン酸化が抑制されていた。さらに、低酸素負荷により野生型マウスの肺で増加するIL-17A産生CD4 T細胞やIL-21産生CD4 T細胞が、CD4 T細胞でgp130を欠損したマウスでは抑制されることも明らかにした。HPHマウスに加えて、膠原病性肺高血圧症の病態をより反映するマウスとして我々が報告したプリスタン/低酸素マウス (PriHxマウス, Mori H, Ishibashi T, et al. Circ J. 2020;84: 1163) においても、CD4 T細胞におけるgp130欠損の影響を解析した。PriHxマウスにおいて、CD4 T細胞でgp130を欠損させることによりどのような免疫学的な変化が生じるのか、さらに検討を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定どおり、(A) これまで一般的に用いられてきた低酸素誘発性肺高血圧症 (HPH) モデル、(B) 我々が確立したプリスタン/低酸素 (PriHx) モデルの2つの肺高血圧症マウスモデルを使用して、gp130のCD4特異的欠損の肺高血圧症病態に対する影響を解析できた。

今後の研究の推進方策

(1) 肺高血圧症モデルマウスでの免疫細胞動態の解析
令和3年度には、CD4細胞、特にTh17細胞に焦点を当てて解析を行ったが、濾胞性ヘルパーT細胞 (TFH細胞) や制御性T細胞 (Treg)、B細胞なども含めた解析を行う。特に、プリスタン/低酸素 (PriHx) モデルにおける包括的な造血系の解析を進める。また、セルソーターで免疫細胞分画を分取し、遺伝子発現変化についても検討する。
(2) 患者検体での免疫細胞動態の解析
国立循環器病研究センターで集積している肺高血圧症患者の血清検体および末梢血単核球を用いて、動物モデルで病態形成に重要であると考えられたサイトカインや免疫細胞が、肺高血圧症患者では実際にどのように変化しているのかを明らかにする。患者肺の病理組織を用いた検討も実施する。

次年度使用額が生じた理由

【理由】令和3年度に予定していた一部のフローサイトメトリー解析を次年度にまとめて実施することにしたため、次年度使用額が生じた。
【使用計画】次年度使用額は令和3年度分と合わせ、フローサイトメトリー解析のための抗体のほか、実験動物、細胞培養関連試薬の購入、研究補助員の人件費に充てる計画である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] The role of gp130-mediated IL-6 signaling in the CD4+ lymphocytes for the pathogenesis of pulmonary arterial hypertension2021

    • 著者名/発表者名
      Ishibashi T, Masaki T, Inagaki T, Chikaishi-Kirino T, Okazawa M, Nakaoka Y
    • 学会等名
      第5回 日本循環器学会基礎研究フォーラム (BCVR)
  • [学会発表] Anti-interleukin-21 aptamer treatment improves pathology in a rodent models of pulmonary hypertension2021

    • 著者名/発表者名
      Inagaki T, Asano R, Mitsui M, Ishibashi T, Okazawa M, Ogo T, Nakaoka Y
    • 学会等名
      第5回 日本循環器学会基礎研究フォーラム (BCVR)
  • [学会発表] 芳香族炭化水素受容体を介した肺動脈性肺高血圧症の病態形成メカニズム2021

    • 著者名/発表者名
      岡澤 慎, 正木 豪, 浅野 遼太郎, 稲垣 薫克, 石橋 知彦, 山岸 亜紀子, 真鍋 侑資, 大郷 剛, 中岡 良和
    • 学会等名
      第29回 日本血管生物医学会学術集会 (CVMW2021)
  • [学会発表] 肺高血圧症における IL-6 の重要性:遺伝子改変ラットを用いた検討2021

    • 著者名/発表者名
      稲垣 薫克, 石橋 知彦, 岡澤 慎, 正木 豪, 真鍋 侑資, 浅野 遼太郎, 中岡 良和
    • 学会等名
      第29回 日本血管生物医学会学術集会 (CVMW2021)

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公開日: 2022-12-28  

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