研究課題/領域番号 |
21K08073
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
工藤 藤美 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (30726419)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マクロファージ / 心不全 |
研究実績の概要 |
心臓マクロファージは心臓間質に存在する免疫細胞の大部分を占め、我々はこれらが心臓恒常性の維持と心不全発症の両面で多様な働きを持つことを明らかにした。超高齢社会を迎え心不全は急増しているが、心臓マクロファージを標的とした治療法は未だ確立していない。本研究では高齢マウスの心臓で増加するマクロファージサブセットによる恒常性維持機構や心不全、リモデリングにおける機能を明らかにし、新規心臓マクロファージサブセットを標的とした新たな心不全の 予防・治療法の基盤確立を目的とする。高齢マウスを用いたシングルセルトランスクリプトーム解析より、心臓において加齢に伴い増加する老化特異的な新規マクロファージサブセットを見出した。また、新規マクロファージサブセットが加齢や心負荷に伴う心臓リモデリングの誘導において炎症細胞の集積や線維化の制御に関わると考え、新規マクロファージ サブセットの機能や活性化に関わる分子を絞り込んだ。これらの候補分子については、マクロファージ特異的に欠損するマウスの作製を行った。今後はノックアウトマウスを用いた解析により新規マクロファージサブセットの生理的・病理的機能を明らかにするとともに、シングルセル(scRNA-seq)解析等により、様々な免疫細胞や線維芽細胞との細胞間相互ネットワークの解明と心臓の線維化・リモデリングに関わる分子機構を明らかにし、新規マクロファージサブセットの制御因子を特定し、新たな心不全予防、治療法開発の基盤を確立する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高齢マウス心臓マクロファージのシングルセル(scRNA-seq)解析から、加齢により増加する老化特異的マクロファージサブセットを明らかにした。これらのサブセットに特徴的な分子を同定し、ノックアウトマウスの作製を行いscRNA-seqを行った。横行大動脈結紮(Transverse aortic constriction, TAC)による圧負荷モデルにおいて、心臓マクロファージに発現する分子を介したリモデリング誘導が示唆された。新たなリモデリング誘導機序を解明に向け進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
新たに作製したノックアウトマウスに関して、TACにおける心臓マクロファージのscRNA-seqにより遺伝子発現解析を行い、その他免疫細胞や線維芽細胞との 相互作関係を明らかにする。新規マクロファージサブセットの機能や活性化シグナル経路への介入、心臓マクロファージの制御因子の同定により、心不全やリモデリングに対する予防や治療開発の基盤を確立する。
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