研究課題
高齢者心血管病では「心腎連関」による複数臓器での同時多発的な障害と各臓器の石灰化、線維化の進行が特徴である。これら加齢に伴う心腎血管病へのリン代謝異常の関与はKlothoやFGF23の遺伝子欠損マウスの表現型解析からも強く示唆されるが、最近本申請研究分担者の佐藤らは耳下腺特異的タンパクであるproline-rich proteins (PRPs)がFGF23依存性に唾液中に分泌されリン蓄積抑制に働くという新規機能を同定した。本申請研究では、唾液検査においてPRPsであるhPRB1を測定し、PRPsの心腎血管病予測新規バイオマーカーおよび新規心腎血管病予防・治療薬としての意義の解明を目的とている。昨年度に特定検 診時に収集した唾液サンプルの一部を用いてhPRBの測定を行ったところ、特定検診時に収集した唾液サンプルの保存状態の問題から、hPRB測定値が場合によって は不正確となる問題が判明した。そのため当初の予定を変更し、信州大学医学部附属病院循環器内科に入院する様々な循環器疾患患者の唾液を網羅的に前向きに収集し、カルテデータを用いて、循環器疾患と唾液中hPRB1の関連を解析するプロトコールに変更し、信州大学医学部倫理委員会に新たに研究計画を提出し、承 認を受けた。令和4年度より患者登録とサンプル採取を開始し、今年度中に信州大学医学部付属病院に入院した循環器疾患患者約1000例の登録を終了し、唾液および血液サンプルを得た。現在、これら唾液および血液サンプルを用いて、唾液中および血液中hPRB1を測定し、各種バイオマーカーや臨床指標との関連を解析中である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)
Heart Rhythm
巻: 20 ページ: 976-981
10.1016/j.hrthm.2023.03.209
https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/medicine/department/doctor/zouki/i-oreg/cardiovascular/