研究課題
心房細動症例で三次元経食道心エコーを施行した症例のデータベース整備を進め,後ろ向き解析を行った。①心房性機能性三尖弁閉鎖不全症のメカニズムに関する検討持続する心房細動に起因する右房リモデリング,後尖優位の弁輪拡大,後尖の不十分な代償性延長が心房性機能性三尖弁閉鎖不全症の発症のメカニズムとして重要であることが示唆された。本研究はJournal of the American Society of Echocardiography誌 (IF: 7.72)へ掲載された。②超重症三尖弁閉鎖不全症の予後因子に関する検討64例の重症TR (52%がGrade 5+, torrential) に対し3D経食道心エコー図と運動負荷心エコー図検査を施行した. 前者からは医工連携によって新規作成した専用ソフトウェアを用いて接合ギャップの解剖学的逆流弁口面積 (3D-AROA) を測定した。後者では各ステージで三尖弁輪収縮期移動距離 (TAPSE) および推定収縮期肺動脈圧 (SPAP) をプロットし,右室収縮予備能の指標としてTAPSE/SPAP slopeを計測した。フォローアップ (中央値559日) 中に31%が死亡し,累積生存率は1年で82%,2年で68%だった. Cox回帰分析にて,年齢・性別・腎機能・浮腫の有無・運動耐容能で補正後も,3D-AROAおよびTAPSE/SPAP slopeが予後関連因子として選択された.超重症TRの治療に当たっては逆流重症度,右室収縮予備能,肺循環動態,体うっ血所見などを加味した総合的判断が求められることが示唆された.本研究はEuropean Heart Journal: Cardiovascular Imaging誌(IF: 9.13)へ掲載された。
2: おおむね順調に進展している
心房細動症例で三次元経食道心エコーを施行した症例のデータベース整備は順調に進んでいる。後ろ向き検討から,心房性機能性三尖弁閉鎖不全症の機序に関する検討を行い,論文化を行った。前向き多施設研究の実施に向けて,研究プロトコルの作成が完了し,多施設研究の共同施設の策定と倫理委員会での審査を並行して進めている。
心房性弁膜症の詳細な機序を明らかにした上で,前向き研究のステップに進めたい。具体的には,①心房性機能性僧帽弁閉鎖不全症の多様な機序を明らかにすべく後ろ向きデータ解析を進める。②心房性機能性三尖弁閉鎖不全症については,今回の論文で逆流が発症するメカニズムを示すことができたので,その手前の段階,すなわち心房細動罹病期間と弁輪形態の変化の関連について,発作性心房細動と持続性心房細動群に分けて精査を進めており,解析はおおむね終了している。これらの検証をしっかり行った上で,経カテーテル的心筋焼灼術による洞調律化が弁輪および心房のリバースリモデリングをもたらすかに関する前向き多施設研究の実施に向けて動いていく。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 8件)
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