研究課題
本研究では、心不全患者の多施設共同の大規模データベースを再構築し、左室収縮能の保たれた心不全(HFpEF)患者において、1.運動中の血行動態に基づく比較 的均一なサブグループへの分類、2.患者中心アウトカム (身体機能とQoL)の評価、3. 生命予後/心不全再入院/患者中心アウトカムと関連する運動時指標/治療の同定を行うことを目的としている。最終的には、ウェアラブルデバイスを用いたリアルタイムでの身体機能計測に基づく、治療効果判定並びに生活指導による 診療体制を確立することを最終目標をしている。当該年度において、引き続き心不全患者の多施設共同のデータベース構築を強固なものにし、症例登録を進めた。HFpEFを対象としたRCTでsodium-glucose cotransporter 2 (SGLT2) 阻害薬の予後改善効果が近年示されたが、我々の構築された心不全レジストリ登録患者群での、同RCTの組入基準を満たした患者特徴を検証すると、RCTより高齢で体格が小さいなど大きく異なった背景を有し、非心臓疾患死の割合が多いことを明らかにし、論文報告した(Takeuchi ; IJC 2023)。また、現在までのトレンド解析からHFpEFの予後が改善していないことを明らかにした(Nakamaru; JAHA 2023)。運動負荷の指標を用いたCpC-PH検出の論文報告(Goda; Plos one 2023)や、心肺運動負荷試験の指標を用いた心機能回復の予測の意義を検証した研究の学会発表(第88回日本循環器学会総会)を行なった。
3: やや遅れている
心不全患者の多施設共同の大規模データベースは構築され、データー入力が進んでおり、そのデータベースを基に、学会発表並びに論文報告を行えている。 しかしながら、左室収縮能の保たれた心不全(HFpEF)患者において、運動中の血行動態を評価するサブグループのエントリーには到達していない。
左室収縮能の保たれた心不全(HFpEF)患者において、心肺運動負荷試験を用いた運動中のパラメータを用いたサブグループに基づき、予後の意義などを検討する研究を進めており、学会発表や論文作成を引き続き進めている。さらにレジストリに登録されたHFpEFにおいて、海外の心不全レジストリと比較を行い、日本のHFpEFの患者背景、予後、治療について比較を行い、欧州との違い特に、人種・体格による違い、社会的背景・医療保障制度の違いを明らかにすることを検討している。
人件費が発生しなかった、また学会参加が予定より少なかったため、次年度使用額が生じた。 来年度論文投稿費や学会参加費に使用する予定である。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
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