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2023 年度 実施状況報告書

肺高血圧症における遺伝的新規予後規定因子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 21K08097
研究機関東北大学

研究代表者

矢尾板 信裕  東北大学, 大学病院, 助教 (00735368)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード肺高血圧症
研究実績の概要

メタボローム解析を新たに8名追加し、25名の肺高血圧症患者と15名のコントロールのメタボローム解析を検討した。当科で同定した肺高血圧症の予後不良因子として60歳以上(2点)、WHO Functional class III以上(3点)、右室拡張末期圧10mmHg以上(1点)として点数付けを施行し、代謝経路に差がないか検討した。その結果コントロールより肺高血圧症患者ではミトコンドリア代謝機能が低下していた。さらに、予後不良因子が3点以上の肺高血圧症患者10名ではそれ以下の肺高血圧症患者15名に比較してミトコンドリア代謝経路が低下している傾向を認めた。
そこで、ミトコンドリア機能異常にSNPsが関与している可能性を考えエクソーム解析を行った。ミトコンドリア機能異常に関与するSNPsは大きくミトコンドリア遺伝子、体遺伝子の報告がある。今回は体遺伝子に関して検討した。これまで報告されているミトコンドリア機能異常に関与する体遺伝子は約350報告されており、その中の334の遺伝子に関して検討を行った。その結果、nonsynonymous変異を120個、Framesift変異を3個同定できた。さらにnonsynonymous変異に関してIn silicoで機能異常をきたす変異があるかどうか検討した所、Mutation Taster>0.9、かつLJB SIFT>0.95を満たすSNPsは15個同定された。さらに1000G AlleleとのSNPsの保有率で有意差を認めるSNPsはLRPPRC、TRMU、ETFB、BTD、WFS1であった。また、Framsift変異ではCOASYのSNPsが今まで方向されていない新規のFramesift変異であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

メタボローム解析を追加したことで、ミトコンドリアの代謝経路が肺高血圧症患者で低下していることがわかった。さらに、ミトコンドリアの代謝経路の低下は二次性のものと考えられたが、エクソーム解析を施行することで、肺高血圧症患者ではミトコンドリア機能異常を引き起こす可能性のある体遺伝子異常を複数所有していることが判明した。さらに、肺高血圧症患者ではLRPPRC、TRMU、ETFB、BTD、WFS1のSNPsをコントロールより多く有しており、今後の研究の対象となるSNPsを絞ることが出来たと考えられた。さらに、これらのSNPsによるミトコンドリア機能異常が肺高血圧症の新たな治療標的になる可能性が考えられた。

今後の研究の推進方策

ここまでの研究で肺高血圧症の新たな研究標的としてミトコンドリア機能異常とそれを引きおこす可能性のあるSNPsを同定できた。今後は今回同定されたSNPsの機能を同定していく。In silicoで複数の推測からは機能異常を有するとでているが、それをIn vitroで検討していく。具体的には平滑筋にこれらのSNPsを有し、ミトコンドリア機能異常が生じないか検討する。また、これらのSNPsの有無にてメタボローム解析をし直し、ミトコンドリア代謝機能の低下の程度に有意差があるかどうか検討していく。

次年度使用額が生じた理由

家族の介護が必要となり、本年度は研究の進捗が遅れた。そのため、基礎的な追加解析が行うことができなかったため、次年と繰り越しが必要となった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)

  • [雑誌論文] A Multicenter, Single-Blind, Randomized, Warfarin-Controlled Trial of Edoxaban in Patients With Chronic Thromboembolic Pulmonary Hypertension: KABUKI Trial2024

    • 著者名/発表者名
      Hosokawa Kazuya、...、Yaoita Nobuhiro、Minatsuki Shun、Todaka Koji、Fukuda Keiichi、Tsutsui Hiroyuki、Abe Kohtaro、on behalf of KABUKI Investigators
    • 雑誌名

      Circulation

      巻: 149 ページ: 406~409

    • DOI

      10.1161/CIRCULATIONAHA.123.067528

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Inhaled nitric oxide testing in predicting prognosis in pulmonary hypertension due to left‐sided heart diseases2023

    • 著者名/発表者名
      Satoh Taijyu、Yaoita Nobuhiro、Nochioka Kotaro、Tatebe Shunsuke、Hayashi Hideka、Yamamoto Saori、Sato Haruka、Takahama Hiroyuki、Suzuki Hideaki、Terui Yosuke、Yamada Kaito、Yamada Yusuke、Inoue Takumi、Aoki Tatsuo、Satoh Kimio、Sugimura Koichiro、Miyata Satoshi、Yasuda Satoshi
    • 雑誌名

      ESC Heart Failure

      巻: 10 ページ: 3592~3603

    • DOI

      10.1002/ehf2.14515

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Update on the roles of imaging in the management of chronic thromboembolic pulmonary hypertension2023

    • 著者名/発表者名
      Higuchi Satoshi、Ota Hideki、Yaoita Nobuhiro、Kamada Hiroki、Takagi Hidenobu、Satoh Taijyu、Yasuda Satoshi、Takase Kei
    • 雑誌名

      Journal of Cardiology

      巻: 81 ページ: 297~306

    • DOI

      10.1016/j.jjcc.2022.03.001

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2024-12-25  

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