研究課題/領域番号 |
21K08113
|
研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
肥田 頼彦 岩手医科大学, 医学部, 助教 (20609672)
|
研究分担者 |
石田 大 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (20400484)
土井 章男 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 教授 (60271839)
森野 禎浩 岩手医科大学, 医学部, 教授 (90408063)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 経皮的冠動脈インターベンション / ロボット支援下手術 / 虚血性心疾患 / 血管内イメージング |
研究実績の概要 |
血管内超音波や光干渉断層法などの血管内イメージングガイド下に施行されたロボット支援下PCI (以下R-PCI)に関する報告は少ない.血管内イメージングガイド下に施行されたR-PCIの手技関連および術後30日アウトカムを明らかにした.2019年6月12日から2021年2月18日までに日本国内の単施設で血管内イメージングガイド下にR-PCIを施行した全ての患者連続102症例(男性78例,平均年齢70.1±9.6歳)を対象に,後ろ向き観察研究を行った.Primary endpointは30日生存,Secondary endpointはその他全ての合併症の発生とした.血管内イメージングガイド下のR-PCIは合計110回 125病変に対して実施された.手技時間,透視時間,造影剤使用量,患者皮膚線量,第一術者被曝量の中央値はそれぞれ49分,16分,67 mL,0.62 Gy,0 μSvであった.治療対象となった病変枝の87.3 %がACC/AHA分類type B2もしくはtype Cであったが,全ての症例で病変部の開大に成功し,術後TIMI flow grade = 3で終了した.全体の12.7%でマニュアル手技の併用を要したが,全例で30日生存が確認された.合併症としては穿刺部のトラブルが2件と,マニュアル手技による末梢側枝の小さな血管解離1件を認めたものの,術後30日間で心血管イベント(急性心筋梗塞,脳卒中)はなく,target lesion restenosisも認めなかった.血管内イメージングを用いたR-PCIは治療成績が非常に良好で,ロボット操作が原因による合併症はみられなかった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記概要の探索的研究の結果を国内学会で発表し、英文誌Cardiovascular Intervention and Therapeuticsに論文投稿を行った.同論文は2022年4月22日にアクセプトされ,5月5日にオープンアクセスで公表された。また、ロボット支援下PCI施行した58症例に血管内超音波を用いて解析した研究結果を現在海外誌に投稿中である.
|
今後の研究の推進方策 |
当初はファントム模型に対してPCI支援型ロボットを使用した遠隔PCIの検証を行う予定であったが、世界的に長期化しているコロナ禍を背景に、海外からの機器の調達や専門スタッフが来日できる見通しが立たない事が明らかとなった。そのため遠隔PCIに関する研究は当面凍結し、ロボット支援下PCIの安全性(治療成績)と血管内イメージングガイド下でのさらなる検証を中心に行っていく方針とした。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため現地開催予定だった学会がオンライン開催になる等の変更があり,旅費などの分で差額が生じた.次年度の学会旅費や,発表論文の投稿費用(特にオープンアクセスに関連する費用)などに活用する予定である。
|