研究課題/領域番号 |
21K08128
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
小林 茂樹 山口大学, 医学部, 教授(連携講座) (90397993)
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研究分担者 |
矢野 雅文 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90294628)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 心室頻拍 / 心不全 / リアノジン受容体 / ダントロレン / カルシウムハンドリング |
研究実績の概要 |
【臨床研究】心疾患を有する心室頻拍症に対するダントロレンの安全確認試験(ダントロレンVT試験jRCTs061180078): 本研究は、心不全を合併したガイドライン治療抵抗性の心室頻拍(VT)ストームに対する単施設、オープンラベルのダントロレン静注介入試験である。本研究にて、ダントロレンのVTストームに対する有効性が世界で初めて示された(Circulation: Arrhythmia and Electrophysiology 2022 Oct;15(10):e011220.)。 慢性心不全におけるダントロレンの予後および心室性不整脈に与える効果と安全性を評価する多施設ランダム化二重盲検試験(SHO-IN Trial:jRCTs061180059)は、医師主導型の21施設からなるダントロレン、プラセボによるRCTである。対象は左室駆出率40%未満の慢性心不全患者で、主要評価項目は、心血管死、心不全増悪による入院、致死的不整脈による複合エンドポイントである(評価期間は2年)。目標症例数は300症例であり、2022年11月末に306例の登録を完了した。 【基礎研究】マウス横行大動脈縮窄心不全モデルでは、ダントロレンが心筋細胞内のRyR2に結合し、その結果、RyR2四量体構造を安定化し、RyR2の修飾蛋白であるカルモジュリンの結合親和性を高め、RyR2からのCa2+漏出を抑制し左室リモデリングの抑制や致死的不整脈の予防により、予後が改善することを報告した(Biochem Biophys Res Commun. 2023 Jan 29;642:175-184.)。マウス心筋梗塞モデルにおいても、ダントロレンは、左室リモデリングと致死的不整脈を抑制し、予後を改善させた(J Mol Cell Cardiol. 2023 Mar 22:S0022-2828(23)00052-4.)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床研究のSHO-IN Trialでは、予定では、2022年3月までに、300症例の患者登録を行う予定であったが、2022年11月30日に300例の登録を終了した。登録が予定より、遅れている。理由としては、予想より、エントリー基準を満たす候補患者数が少ないためである。 基礎研究は、おおむね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
臨床研究のSHO-IN Trialの患者登録が2022年11月に終了したので、その後2年の試験薬投与とさらに後3ヶ月のフォローアップで安全が確認された後、キーオープンとなる。その間、安全確認とCRFによるデータ収集を行う。基礎研究においては、横行大動脈縮窄(TAC)による左室肥大モデルの心不全代償期モデルを用いて、リアノジン受容体標的治療のHFpEFに対する効果や作用機序に関しても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
臨床試験や基礎実験の進行の遅れにより、試薬、試験薬、消耗品の購入が遅れたため。 令和5年度には、遂行できなかった臨床試験や基礎実験の試薬、試験薬、消耗品や追加実験のための解析費に充てる。
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