研究課題/領域番号 |
21K08130
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
田中 敦史 佐賀大学, 医学部, 特任教授 (00594970)
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研究分担者 |
野出 孝一 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359950)
吉岡 吾郎 佐賀大学, 医学部, 医員 (80899146)
吉田 寿子 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 特任准教授 (60437788)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 急性心筋梗塞 / 予後予測 / リスクモデル / バイオマーカー / 心不全 / 左室駆出率 |
研究実績の概要 |
初年度の研究結果も踏まえ、急性心筋梗塞後の一年後死亡率に関する予後予測モデルの構築・論文化、および急性心筋梗塞の退院から慢性期にかけての左室駆出率の変化が予後へ及ぼす影響についての解析を中心に実施した。 経皮的冠動脈治療を受けた日本人急性心筋梗塞患者連続1355名を対象に、急性心筋梗塞入院時の血液検査項目の組み合わせによる、一年後死亡率に対するリスクスコアモデルを作成した。多変量解析により、ヘモグロビン、血清アルブミン値、eGFR、高感度トロポニンIの4つの変数が有意であることが判明した。それらの因子を用いたリスクモデルを構築した結果、既存の予測モデル(GRACE2)よりも簡便かつリスク層別化能に優れることが判明した。本研究論文は、佐賀大学令和4年度大学院医学系研究科優秀論文賞を受賞した。 急性心筋梗塞後の左室駆出率の変化が心不全関連予後へ及ぼす影響に関して、急性期に左室駆出率が保たれた日本人急性心筋梗塞患者連続1330名を対象に、その変化の軌道の違いが及ぼす影響について解析し、慢性期に新たに左室駆出率が低下する症例では予後不良であることが判明したことから、急性期に左室駆出率が保たれている症例であっても慢性期にかけての左室駆出率の観察継続の重要性が示唆された。本研究論文は、第58回日本循環器病予防学会YIA最優秀賞、第26回日本心不全学会YIA優秀賞、令和4年度佐賀大学医学部長賞を受賞した。 さらに、前年度で解析を実施した急性心筋梗塞後の血清アルブミン値と予後との関連について、研究成果を元にした英語総説論文を作成した。 また、Journal of Clinical Medicine誌において本研究課題と関連した冠動脈疾患の予後改善へ向けた特集を臨時エディターとして立上げ、同領域の研究を推進した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度に予定していた慢性期の予後予測モデル作成については、学会発表および論文発表に至ることができ、国内外で評価を得た。 また、研究期間後半における発展型と想定している多施設データベースを活用したモデルの作成においても検討を実施している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の中核であった急性心筋梗塞後の急性期・慢性期の予後側モデルの構築および予後規定関連因子の探索については当初の想定以上の進捗が認められたことから、研究期間後半における発展型と想定していた多施設データベースを活用したモデルの作成に対して、最終年度は検討を加速していくと同時に、社会的にも対策が喫緊の課題である心不全に対しても同様のアプローチによる新たな予防戦略の構築が可能かどうか検討を実施していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品費として使用を計画していたが、当該年度に購入の必要がなくなったため、繰り越し金が生じた。次年度に購入予定とする。
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