本研究によって、ミトコンドリアのエネルギー産生に伴う酸化ストレス・過酸化脂質の蓄積に対して、心臓では、MARCH5が恒常的に脂質過酸化によるフェロトーシスから心筋細胞を保護していることが示されました。また、DOXによる心筋傷害という、よりフェロトーシス細胞死が亢進した病的環境下でも、DOXへの抵抗性を制御する鍵分子として重要な役割を担っていることが明らかとなりました。 癌に対する化学療法は日々進化していますが、反面、抗がん剤による心筋障害は重篤な副作用としていまだ積極的な治療法がありません。今後、DOX心筋傷害に対する治療戦略としてMARCH5の活性化をめざした創薬展開が期待されます。
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