研究課題/領域番号 |
21K08154
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
小林 和幸 神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (50403275)
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研究分担者 |
西村 善博 神戸大学, 医学部附属病院, 名誉教授 (20291453)
山本 正嗣 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40542139)
永野 達也 神戸大学, 医学研究科, 講師 (80624684)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ARDS |
研究実績の概要 |
ARDSに対する治療は呼吸管理や水分管理、ステロイドや好中球エラスターゼ阻害薬などの抗炎症薬による薬物管理が中心であり、現時点で予後改善が見込まれる有効な薬物治療は認めていない。依然死亡率の高い疾患に対する新規治療薬と病態の解明が望まれており、また、COVID-19の大流行により重症化治療の確立は世界的に喫緊の課題となっている。今回の研究では、ARDSの病態で肺胞・気道炎症と同等に重要と考えられる肺血管内皮細胞における炎症や血管透過性に着目して、肺胞上皮細胞と血管内皮細胞の両面からARDS治療にアプローチした。特にARDSでは障害肺胞上皮の修復目的で血管の新生が盛んに起こることも分かっており、血管新生や血管透過性に関わる因子が重要な治療標的となるのではないかと考えた。近年行われたGWASにて発見されたKIAA1462に以前より着目して研究を行っており、特に血管内皮細胞や細胞骨格の形成における役割について明らかにしてきた。ARDSの主病態は好中球性炎症と肺血管透過性亢進であることが分かっており、肺血管と肺胞壁構造を標的とした新規ARDS治療薬の開発を目指すべく、当研究科で同定され、機能解析が行われたJCAD/KIAA1462が有望な分子標的になるのではないかと考えた。LPS誘導性肺障害マウスモデルを作成したところ、KIAA1462のKOマウスでは血管細胞間接着が低下し、血管透過性が亢進することで肺障害が増悪することを確認した。また、LPS投与24時間後のマウスの肺を取り出し、qRT-PCRを施行したところ、IL-6、TNF-α、IL-1β、CXCL-2、MCP-1などのサイトカインはKIAA1462のKOマウスで発現が亢進していた。さらに、KIAA1462のKOマウスでは、VEcadherin、VCAM-1、ICAM-1の発現も低下していることを確認した。
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