研究課題/領域番号 |
21K08156
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
原 敦子 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (70736420)
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研究分担者 |
石本 裕士 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (00457558)
城戸 貴志 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (30389465)
坂本 憲穂 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (30448493)
柳原 克紀 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (40315239)
今泉 芳孝 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 准教授 (40404305)
迎 寛 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80253821)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 肺リンパ腫 / 診断 / 分子生物学的手法 / 遺伝子転座 / クローナリティー / フローサイトメトリー / 気管支肺胞洗浄 |
研究実績の概要 |
我々は、すでに気管支肺胞洗浄液(BALF)を用いたMALT1遺伝子転座(FISH法)や、IgHの再構成(PCR法)の検出が肺リンパ腫の診断に有用であることを報告した(Kido T, et al, Chest 2012, Kido T, Hara A, et al, Sci Rep 2021)。本検討ではさらなる診断の感度、特異性の向上を目指し、BALFを用いた肺リンパ腫の内科的診断手法の確立を行う。 これまで、長崎大学病院で34例の症例集積を行った。肺リンパ腫は合計10例で、B細胞性リンパ腫が6例(MALTリンパ腫2例、DLBCL2例、濾胞性リンパ腫1例、CLL1例)、T細胞性リンパ腫が4例(いずれもATL)であった。IgHの再構成によるB細胞のクローナリティの評価においてはB細胞性リンパ腫では全6例で陽性、ATLで2例陽性、シェーグレン症候群の肺病変で1例陽性であった。以上より、IgHの再構成はB細胞性リンパ腫に対して感度100%、特異度89.2%となった。TCRの再構成によるT細胞のクローナリティの評価においては、T細胞性リンパ腫で4例、B細胞性リンパ腫で4例、その他の疾患で7例陽性であり、T細胞性リンパ腫に対する感度は100%、特異度は63.3%となった。FISH法におけるMALT1遺伝子の評価では、DLBCLで1例、ATLで3例(75%)で染色体が3本~6本以上確認できる染色体過剰細胞が認められた。IgH遺伝子転座はCLL、濾胞性リンパ腫、MALTリンパ腫で各1例確認でき、B細胞性リンパ腫全体として6例中4例(66.7%)で何らかの遺伝子転座が確認された。ATLでは4例全例(100%)で染色体が3本~6本以上確認できる染色体過剰細胞が認められた。以上より、これまでの検討でも各種検査は非常に有用なことが示唆されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでリンパ腫10例を含めた34例の症例を解析することができた。比較的稀な疾患ではあるが順調に症例の集積ができており、引き続き症例の集積、解析を行いたい。また、本研究と関連して、ATLにおける気管支肺胞洗浄を用いた診断の有用性を日本呼吸器内視鏡学会総会で、気管支肺胞洗浄が診断に有用であった濾胞性リンパ腫の1例を日本内科学会地方会で報告し、pulmonary nodular lymphoid hyperplasiaの症例は英語論文としてinteranal medicineへの掲載がacceptされた。
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今後の研究の推進方策 |
解析自体は順調に進んでいる。引き続き症例の集積を行い、今後症例蓄積の伸びが不十分な場合は多施設共同研究への展開も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症流行により、症例の集積が十分ではなく、検出代の費用に差額が生じてしまいました。残りは次年度の検出代に使用させていただきます。
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