研究実績の概要 |
本研究では、PT-INR値と血中濃度の相関が示唆されるXa因子阻害薬(リバーロキサバン、エドキサバン、アビキサバン)による抗凝固療法を要する呼吸器疾患症例を対象とした前向きの無作為化比較試験を行う。①薬剤毎の出血イベント発生頻度と特徴の違い、②出血イベント発生のリスク因子の同定、③PT-INR値と出血イベント発生の関連、④薬剤毎の血栓症再燃頻度、を明らかにすることを目的としている。本研究により、Xa因子阻害薬のリスク・ベネフィット、とくに出血リスクの違いが明らかにできれば、血栓症の頻度が高いだけでなく気道出血を生じやすい呼吸器疾患患者において最適なDOAC薬剤を選択する一助となり得る。さらに、PT-INR値の上昇と出血リスクの関連が明らかになれば、安全性を担保するためのモニタリングの必要性を示す可能性があり、実臨床に還元できる基盤的知見 となり得る研究である。 当該年度を含めた研究期間全体を通じて実施した研究の成果として、本研究と同様の内容を目的として、後方視的な観察研究を行った。Xa因子阻害薬(リバーロキサバン、エドキサバン)を投与された呼吸器疾患症例を対象として症例データ集積、統計解析、論文投稿行い、Scientific reports誌に掲載された1)。この予備的研究成果により、前向きの無作為化比較試験である本研究を進捗させる根拠となった。
1) Hamada, S., Muramoto, K., Akaike, K. et al. The impact of factor Xa inhibitors on bleeding risk in patients with respiratory diseases. Sci Rep 14, 4039 (2024).
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