研究実績の概要 |
今回我々は、LINC00460がEGFR変異陽性肺癌における癌の浸潤、転移、EMTのプロセス、EGFR-TKIの治療効果に関与していることを証明し、オシメルチニブを投与したEGFR遺伝子変異陽性肺癌におけるLINC00460発現の臨床的重要性を明らかにする目的で、オシメルチニブを投与したEGFR遺伝子変異陽性原発性肺癌の原発巣から抽出したRNA(腫瘍由来30例)からLINC00460のプライマーを用いて、RNA用検体をPCR法でLINC00460を同定し、半定量化し検討を行った。患者背景は平均年齢70.0歳(44-84歳)、男/女:19/11、PS 0/1/2以上:18/7/5、腺癌/扁平上皮癌:29/1、III期/IV期/術後再発:2/19/9、非喫煙者/喫煙者:21/9。原発巣のEGFR遺伝子変異は19del/L858R/L864Q:19/10/1で、臨床データと比較したところ、LINC00460の高発現群と低発現群に有意差を認め(16.6% vs 60.0%, p=0.044)、オシメルチニブの無増悪生存期間はLINC00460の高発現群が低発現群に比べ有意に短い傾向にあり(中央値 224 vs 669日, p=0.001)、また、全生存期間はLINC00460の高発現群が低発現群に比べ有意に短い傾向にあった(中央値 724 vs 未到達, p=0.011)。以上よりEGFR遺伝子変異陽性肺癌における原発巣のLINC00460の過剰発現はオシメルチニブの効果不良因子であることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
今後、全血10mlより血球成分のみを抽出し、循環腫瘍細胞(CTC)濃縮器(ClearCell FX system)をラベルフリーのCTCを採取し、またCTC数のカウントを行う。QIAamp DNA Micro KitにてDNAを、RNeasy Micro KitにてLINC00460を抽出し、抽出したcfRNAからLINC00460, BIM、PD-L1, HER2, MET, VEGFRA, PUMA, EGFR, BIM-EL,L,Sを Real-time PCR法を用いて発現を検証する相対定量を実施する。KCL22細胞株、HCC827細胞株をcalibratorとして相対定量値を算出し、臨床データとの対比を行っていく予定である。
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