研究課題/領域番号 |
21K08174
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
石塚 全 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (50302477)
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研究分担者 |
門脇 麻衣子 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 医員 (20401979)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 気管支喘息 / 気道リモデリング / グルココルチコイド / OGR1 / プロトン / 金属 / サイトカイン / マトリセルラー蛋白質 |
研究実績の概要 |
ヒト気管支平滑筋細胞(BSMCs)は、気管支喘息患者における気道閉塞や気道過敏性に寄与する。また、BSMCsはプロトン感知性Gタンパク質共役型受容体OGR1を介して、細胞外プロトンに応答してIL-6、IL-8やconnective tissue growth factor (CTGF)を産生することを報告してきた。コバルト(Co)およびニッケル(Ni)は職業性喘息の原因となる金属である。私たちは、これらの金属がOGR1のリガンドとして作用する可能性があることから、CoおよびNiがヒトBSMCsのIL-6分泌に及ぼす影響を検討した。CoとNiはともに0.3mMでヒトBSMCsのIL-6分泌を有意に増加させた。IL-6 mRNA発現の有意な増加は、刺激後5時間後に観察された。OGR1-siRNAを導入し、OGR1の発現を低下させたBSMCsでは、CoまたはNi刺激に対するIL-6の産生が抑制された。デキサメタゾン(DEX)は,ヒトBSMCsのCoおよびNi刺激によるIL-6分泌をpH6.3刺激によるIL-6分泌と同様に用量依存的に抑制したが、CoおよびNi刺激によるERK1/2、p38 MAP kinaseおよびNF-kappaB p65のリン酸化を低下させなかった。一方、OGR1-siRNAを導入したBSMCsではCoおよびNi刺激によるIL-8 産生の抑制はIL-6の抑制ほど顕著ではなく、OGR1を介さない別の経路の存在疑われた。さらに、プロトン刺激によるBSMCsからのCTGF産生をDEX は抑制せず、むしろ増強することを見出し、TGF-beta刺激によるCTGF産生においても同様の現象が観察された。BSMCsのCTGF産生はプロトンやTGF-beta刺激がなくても観察され、DEXはCTGF産生を増加させると予想され、この機序に関する解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コバルトやニッケルがovarian cancer G protein-coupled receptor 1 (OGR1) のリガンドとしてヒト気管支平滑筋細胞に作用し、IL-6の産生を増強することを2021年度 Journal of Inflammation Research誌に発表した。したがって、研究は順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
私たちは過去に行った研究において比較的高濃度(0.01mM)のデキサメタゾン(DEX)がヒト気管支平滑筋細胞(BSMCs)や線維芽細胞のTGF-beta刺激によるCTGF産生を増加させることを報告した。BSMCsを細胞外pHを7.4または6.3にした状態でTGF-beta1(1ng/ml)またはcontrol vehicleで刺激すると、プロトンおよびTGF-beta 刺激によってBSMCs からのCTGF産生増加するが、100nMのDEXはどの条件下においてもCTGF産生をさらに増加させた。したがってDEXは10OnM以下の濃度でグルココルチコイド受容体(GR)を介してBSMCsのCTGF産生を増加させると予想している。DEXによってBSMCsにおけるCTGF mRNA発現が増加することを最初に確認する。次にGRalphaをsiRNAによってノックダウンしたBSMCs においてDEX によるCTGF産生増加が減弱するか否かを解析する。さらに、DEX刺激の有無、プロトン刺激の有無、TGF-beta刺激の有無によって、GRのSer226、Ser211、Ser134リン酸化、GR発現がどのように変化するのかをWestern blottingにより解析する。また、TGF-betaおよびプロトン刺激によるSmad2/3のリン酸化、DEXのSmad2/3リン酸化への影響についても併せて解析する予定である。以上の計画は実験手技的には確立しているが、DEX単独によるCTGF産生増強作用はそれほど強力ではないことやsiRNA導入によるGRのノックダウン効率によっては予想通りの結果が得られないことも想定される。予備実験の結果でグルココルチコイドとは別の機序でBSMCsのサイトカイン産生を抑制する亜鉛がCTGF産生に対してどのように影響するかという点に研究を展開していくことも考えている。
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