研究課題/領域番号 |
21K08179
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
市原 英基 岡山大学, 大学病院, 講師 (40549705)
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研究分担者 |
久保 寿夫 岡山大学, 大学病院, 助教 (90726928)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | SHP2 / EGFR / ALK / ROS1 / tolerance |
研究実績の概要 |
肺がんは、様々な原因遺伝子異常に対応した分子標的薬により腫瘍が著明に縮小するが根治に至らない.これは一部のがん細胞(drug tolerant細胞)が残存し後に薬剤耐性となることが大きな要因である.SHP2(Src homology region 2 domain-containing phosphatase) は種々のがん増殖シグナルを下流に伝達する重要なチロシンホスファターゼであるが、申請者らは、このSHP2を阻害するとtolerant細胞の残存を抑制できる可能性を見出した.本研究では、様々なタイプの遺伝子異常を持つ肺がんでSHP2阻害によるtolerant細胞抑制効果を確認し、tolerant細胞におけるSHP2シグナルの重要性を明らかにする.研究の方法として、皮下腫瘍移植モデルを用い、1) SHP2阻害薬による腫瘍残存抑制効果の確認、2) 残存腫瘍の網羅的解析(受容体チロシンリン酸化アレイ・遺伝子発現パネル解析)によるSHP2を介したtolerant細胞残存メカニズムの解明を行う.将来的にSHP2シグナル経路を標的とした、より根治性の高い治療開発につなげることを目標とする.本年度はマウス皮下腫瘍モデルを用い、EGFR・ALK・ROS1遺伝子異常を持つ肺癌皮下腫瘍に対するSHP2阻害薬と各遺伝子異常を標的とした薬剤(EGFR阻害薬・ALK阻害薬・ROS1阻害薬)との併用効果を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究目的である1) SHP2阻害薬による腫瘍残存抑制効果の確認、2) 残存腫瘍の網羅的解析によるSHP2を介したtolerant細胞残存メカニズムの解明のうち、前者である1) SHP2阻害薬による腫瘍残存抑制効果の確認を予定通り実施することができた.この成果により各遺伝子異常を標的とした肺がん分子標的治療においてSHP2が重要な役割を果たしており、SHP2を阻害することでより有望な治療法の開発につながる可能性を示すことができた.
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、研究目標のひとつである2) 残存腫瘍の網羅的解析によるSHP2を介したtolerant細胞残存メカニズムの解明のため、ヒト検体およびがん細胞株を用いた網羅的解析を行いSHP2がどのようなメカニズムで薬剤toleranceを誘導するのかを明らかにする予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画は予定通り進行しているが、試薬など予定より少額で使用できたため次年度使用額が生じた。次年度の試薬など消耗品での使用を予定する。
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