研究課題
緒言: 喘息はコントロール良好な疾患となったが、喘息増悪は今でもしばしば見られ、増悪の予防及び治療法の確立は重要と考えられる。重症喘息では「治療下でもしばしば増悪」するが、その過程で好酸球性炎症と好中球性炎症が連動し、治療抵抗性を獲得する。ペリオスチンは好酸球性炎症のバイオマーカーとされているが、昨年までに①ペリオスチンが好酸球の接着反応、活性酸素産生、特異顆粒蛋白放出を直接誘導すること②ペリオスチンが好中球の活性酸素産生を直接誘導することを報告した。今回我々は、ペリオスチンが好中球からの特異顆粒蛋白放出に関与するかにつき検討した。方法: 健常人の末梢血好中球を使用した。好中球は、デキストラン及びPercoll液で分離した。好中球をペリオスチンでcoatしたplateとincubateし、好中球からのmyeloperoxidase (MPO)の放出をELISAで測定した。結果: ペリオスリンは、好中球からのMPO放出を直接誘導した。この反応は抗αM integrin抗体及び抗β2 integrin抗体の前処置で抑制された。考察: 今研究からは、ペリオスチンが好酸球機能を活性化させるだけでなく、好中球機能を直接活性化させることが明らかとなった。重症喘息では好酸球性炎症と好中球性炎症が連動し、治療抵抗性を獲得することが知られており、ペリオスチンによる好中球機能の活性化が喘息の重症化に寄与する可能性が考えられた。
3: やや遅れている
前述の研究実績だけでなく、現在以下のプロジェクトが進行中であり、特に②はCOVID19の影響もあり、研究全体では遅れている。①ACE2, TMPRSS2またはORMDL3の好酸球・好中球機能に対する影響②ALIシステムを用いたRV-A/B/C に対する抗ウィルスサイトカインや薬剤の効果③IFN-α/β/λのマウス喘息モデルに対する効果
①ACE2, TMPRSS2またはORMDL3の好酸球・好中球機能に対する影響; ACE2, TMPRSS2またはORMDL3が好酸球または好中球機能を直接活性化するかにつき、現在予備実験を行っている②ALIシステムを用いたRV-A/B/C に対する抗ウィルスサイトカインや薬剤の効果現在ALIシステムの立ち上げ中である。RV-A、B、C を使用し、RV に効果が期待される薬剤(マクロライド系抗生剤、気管支拡張薬など)の治療効果の違いを調べることで、種特異的な治療法を検討する③IFN-α/β/λのマウス喘息モデルに対する効果IFN-λのマウス喘息モデルに対する効果を検討し、IFN-α/IFN-βの作用と比較検討する。抗炎症作用を示す場合は、臨床応用も念頭に置き、より良い投与経路やその作用機序を検討する
ALIシステムの構築に時間がかかっていることもあるが、COVID19により細胞入手が困難となり、研究がさらに遅れている。来年以降の本実験で使用させていただく
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